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2007年5月10日 (木)

田舎者になってしまった。07年5月9日

昨日は真夏日だった。去年の散歩では、そのくらいの暑さで大汗をかいていたが、今年は暑さを感じない。多分、贅肉を2キロ落した効果だろう。
夏日は暑さのストレスさえなければ素晴らしい。木立を吹き渡る風に軽やかな服装の若者達。木影のベンチでバスを待つ老人。明るい光が溢れるその風景は、爽やかな一服の絵に見える。そのような夏の日、私は確かな幸せを感じる。難題を抱えていても、夏の光は心の暗部を強力に希釈する作用があるようだ。

午後は青山の工芸品店の経営者が美味しいケーキを手みやげに来訪した。ダチョウの卵にネコと草花を描いていたオブジェが出来たと連絡を入れていたからだ。手みやげの先日のベルギー王室御用達のクッキーと言い、今回のショートケーキと言い、何れも品良く美味い。彼は甘いものへ優れた感性を持っている。
卵のオブジェは客寄せになると私が提案した。誰からも愛される卵の優ししい形に可愛いペットと草花の絵である。ウインドウの見える場所に飾って置けば、必ず通行人の目を惹くと確信している。

彼が帰った後、母の夕食の支度をして新宿へ絵の額装へ出かけた。
気温は日が傾いても下がらない。赤羽では何ともない気温だったが、新宿の人混みでは厭な暑さに変化していた。人混みを縫って世界堂へ歩いていると、人いきれと街の臭気が鼻をついた。汗と香水の混じったすえた臭い、下水にビルの排気に車の排気ガスの臭い。以前は、殆ど気にしなかったが、毎日、自然の中を散歩している内に、嗅覚が鋭敏になり堪え難くなった。

絵は40年前に友人にやったものだ。東京の夕日を荒々しくガッシュで描いたもので、今見ると稚拙さが目につき、あちここち筆を入れたくなる。しかし友人は、稚拙さが力強くて良いと、そのまま額装するように頼んで来た。

世界堂は画学生らしき若者達で混み合っていた。
額を買った後、筆とボードを物色していると、傍らの若者が話しているのが聞こえた。「・・・専門系じゃないんだけど、めちゃ丸を描くのが巧いのがいてね、そいつがすげぇんだ。フリーハンドで描いた丸をコンパスで確かめたらびったし真円なんだ。何でも子供の頃、丸ばっかし描いていて、巧くなったらしい・・・」彼の話では、丸の巧い青年は絵には興味がないらしい。それでも、極めれば凄い事が出来るものだと、私は感心しながら聞いていた。

夕暮れの新宿の雑踏は、若者達の顔に更に疲労が滲んで見えた。私は逃げ出すように駅へ急ぎ、満員列車で真っすぐ帰宅した。下車すると、新河岸川の川風が清涼で心地良かった。静けさにホッとする田舎者に、いつの間にか私は変わってしまったようだ。

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