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2007年6月 1日 (金)

一瞬でも幸せであれば、それが幸せ。07年6月1日

朝一番で生協浮間診療所へ月2度の定期検診に母を連れて行った。今日は予約なので待ち時間は短い。診察する院長の傍らには若い研修医がいて、院長と母のやり取りを真剣に聞いていた。この病院のそのような真摯さは好感が持てる。
診察はすぐに終わった。帰り道、布団屋さんの軒先のツバメの巣を見上げると、雛は大きくなっていて、私たちを珍しそうに眺めていた。布団屋さんの主人と母は以前通っていたリハビリ施設さくらの杜での顔見知りである。布団屋さんは大変な資産家だが子供がなく、夫婦養子を取って世話になっている。

私は11時半に上野歯科医院の予約が取ってある。時間があるので、東京北社会保険病院下の公園へ母を連れて行って歩かせた。日射しが戻り気温が上がったが、巨木の多い公園の日影は爽やかだ。公園の急坂を車椅子を押し上げ、病院敷地に入った。「気持ちの良い、庭ですね。」と、散歩をしていたおばあさんが母に声をかけた。おばあさんは入院患者ではなく、近所の住人のようだ。二人は言葉を交わしていたが、私は先を急いだ。

家にトンボ帰りして母を置き、上野歯科医院に着くと予約時間で、直ぐに治療に入った。上奥歯の境目に二カ所、初期虫歯がある。麻酔なしだが、削る時の歯の焦げる臭いと振動は厭なものだ。しかし、レジンを詰める治療はすぐに終わり、何の違和感も無い。これで今回の治療は終了して、次回は10月頃に定期検診に行く。総て保険治療で、今日は3000円程支払った。

治療が無事に終わり、帰りは足取りが軽かった。今年の緑はいつもより新鮮さが持続している。日射しは強いが、木陰に入ると涼しい。体は快調で疲労感はない。絵は売れないが、最近の絵は以前より良くなって、少し希望を持っている。歩きながら一瞬、とても幸せな気持ちになった。この至福感はお金がどんなに沢山あっても味わえないと思った。

至福感が過ぎると、ふいに母の事が心配になった。出がけ、DVD「野菊の如き君なりき」をセットして来たが、丁度見終えた頃だ。見終わって、動こうとして転んでいないか気になった。帰りを急ぎながら、母とお金の心配が無ければ完璧に幸せなのだか、と思った。しかし、完璧な幸せなど現実にはない。今日のように一瞬でも幸せな瞬間があれば、それが幸せなのである。物があれば失うまいと、若ければ老いまいと不幸になる。平凡で程々が一番なのかもしれない。
--映画の原作は伊藤左千夫「野菊の墓」。昭和30年木下恵介監督作品。沢山映画化されているが、私はこの作品が1番好きである。

帰宅すると、母は無事で、「良かったよ。」と映画の感想を話した。
急いでお昼の支度をしていると、博多の兄から荷物が届いた。中身は桃とマシュマロに餡の入ったお菓子「鶴の子」とチリメンジャコである。桃と「鶴の子」は父の命日なので仏壇に供えた。

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