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2007年6月 8日 (金)

人様々、心の闇は計りきれない。07年6月8日

昨日の記入で、小川芋銭の妻の事に触れながら、22,3歳の頃に付き合っていた牛久の女性のことを、ふいに思い出した。彼女は器量は普通だったが、大柄で健康で優しい女性だった。
始めてのデートの時、「今日のお金は、これから使って下さい。」と彼女はそっと財布を渡した。微かに覚えているその財布は茶色の男物で、彼女は繊細に気を配る人だった。
私は女性に金を出させるのは男の恥と思っていたので、財布の中身は見ずに返した。当時の私は金遣いが荒く、事前にそれを察した彼女は気遣ったようだ。
彼女の家は新興住宅地の裕福な土地持ちで、今思うと財布は分厚く、かなりの額が入っていた気がする。当時、私は女性との出会いが多かったので、いつの間にか彼女の事は忘れ、40年が過ぎてしまった。もし、あのまま真面目に付き合っていたら、かなり違った一生を送ったかもしれない。

絵は満たされない部分を埋めるように生まれる。だから、多くの作家は、満たされると、作品がダメになる。私も、もし彼女と一緒になっていたら作家としてはダメになったと思うが、その一方で、のんびりした一生を過ごせただろう。
裕福で優しい妻子に恵まれていれば、心が満たされる訳ではない。逆に、家庭的に寂しい人生でも、心は満たされていることがある。人は様々、それぞれの心の闇は計りきれない。幸不幸を決めるものは、常識を超えたささやかな事柄である。
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6月10日、新潟県上越市頸城区城野腰に「樹下美術館」がオープンする。
オーナーのS氏とは絵を買っていただいている縁である。以前訪ねた時、氏は田園の中の自然溢れる敷地を案内されて、「将来ここに美術館を建てようと思っています。」と熱く語られていた。それから5年、折々に、建物のデザイン、展示方法、運営、と経緯を聞く内に、見事に美術館は完成した。私は母の介護が終わった時、上越の静かな風景に建つ瀟酒な美術館を、是非訪ねようと思っている。

展示作品は上越ゆかりの物故作家、斎藤三郎氏-陶芸、と倉石隆氏-洋画、である。S氏の優れた審美眼で、長年かけて蒐集されただけに、所蔵作品はどれも水準が高い。陶芸は華やかで優しく、洋画は静謐で気品が漂っている。私の作品は、ホームページf-151の「午睡」が2階ラウンジに展示されているが、7,8,9月の夏の間だけは倉石氏の作品と入れ替わる。
☆左サイド「樹下美術館」でリンクしているので、是非見て欲しい。

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