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2007年7月23日 (月)

高齢者にとって病院は社交の場だが、若い患者には深刻な場所。07年7月23日

今日は眼科の定期検診に母を連れて行った。小さな雨が降っては止む厭な天気である。湿度は90%近くあり、御諏訪神社の急坂を車椅子を押し上げると汗が吹き出て来た。

月曜の総合病院は大変な混雑である。受付に並んでいると、私の前の熟年女性が立ったまま問診票に書き込んでいた。一瞬、人体図の左乳房を丸で囲んでいるのが目に入った。乳がんを疑って受診に来たのかもしれない。

混んでいる割には待ち時間は短く、直ぐに母の視力検査が始まった。母の傍らに付き添っていると、奥の診察室から女性患者と医師が話す声が微かに聞こえた。
と言っても、聞き耳をたてていた訳ではない。通常は聞こえない会話だが、私の聴力は動物的に鋭敏だった。
「網膜に、点状の出血斑がありますね。」
「そうですか。でも、目はよく見えますよ。」
「軽いうちは症状が出ないので、かえって拙いんです。新生血管が増殖して大出血を起こすまでは自覚症状が殆どありません。そうなってから治療するのは大変ですので、今のうちに十分に気を付けていただかないと・・・」
と、途切れ途切れに聞こえた。長期に不摂生を続けている糖尿病患者で、今も病を軽く考えているようだ。患者は医師の忠告が納得出来ない様子だった。母の視力検査が終わる頃、診察室から女性患者が憮然として出て行った。歳は50代、小太りで血色は良かった。

一般にはその血色の良さが大きな誤解を生む。糖尿病が重くなると、表皮の毛細血管が拡張して血色は良くなり、健康だと本人も周囲も誤解しがちである。
老練な医師は患者が診察室に入って来た瞬間に病名を当てられると言う。その一つが小太りの血色の良さで、医師は糖尿を疑う。
その他、足の運びで脳血管の梗塞状態が分かる。たとえば、右の脳に微細な梗塞が起きている時は、左足の動きが悪く、左へ左へ傾くように歩く。毎日の散歩コースでも、真っすぐに進めず、左右どちらかぶれるように歩く老人に幾人も出会う。その方たちは今は元気だが、突然に大きな梗塞が起きて取り返しがつかなくなったりする。

母の緑内障は変化無く、診察はいつものように簡単に済んだ。
「目薬をさすとすぐに治りますが、時折、目がかすむとことがあります。」終わった後、母は訴えていた。
「視力を調節する筋肉が疲れているかもしれません。気休めですが目を洗浄しておきましょう。」医師に言われ処置室へ行くと看護婦さんが太い注射器に入った洗浄液で洗ってくれた。
「冷たくて気持ちが良い。」と母は喜んでいた。帰りがけ、「次からは毎回洗ってもらおうね。」と母は言った。昔の眼科は必ずホウ酸水等で目を洗ってくれたが、最近、洗ってくれない。昔と今は眼病の傾向が変わったようだ。
病院のあちこちで、母は幾人もの知人と出会い嬉しそうに挨拶していた。そのように高齢者には病院は社交の場だが、若い患者には深刻な場所であった。

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