行く雲を見上げて眠るアブラ蝉 07年8月29日
28日
昨夜は満月で、月の光が畳を照らしていた。座って、ベランダの上の月を見上げていると、環八の騒音が一瞬消え、秋の夜の静寂に包まれたような気がした。
今日は朝から蒸し暑く、靄がかかった空から薄日が差していた。このベタつく暑さは苦手だ。
散歩の出かけ、住まいの通路に油蝉が死んでいた。「可哀想に。」と母は哀れんだが、羽を下にして死んでいる蝉は、私には苦悩から解放されて安らかに見えた。老母と暮らしていると緩慢な死の意味がよく分かる。次々と訪れる老いの苦悩をしのいでいる内に、死への恐怖は薄れて行く。十分に生きた末の蝉の死は決して哀れではない。
行く雲を見上げて眠るアブラ蝉
自然公園はあいかわらず閑散としていた。公園近くに住む顔馴染み数人と会うだけだ。その人達も、気怠そうに歩いていた。少々、長い夏の暑さに飽きてしまった。
夕暮れから涼風が吹き始めた。皆既月食だが、残念ながら厚く雨雲に覆われている。
7時過ぎ、北の空から雷鳴が聞こえ、雨が激しく落ちて来た。通路へ出て、しばらく眺めていると、川口の市街に太い稲光が落ちるのが見えた。殆どは避雷針に落ちる稲妻で、この自然の脅威は爽快である。
29日
涼しいが湿度は高い。車椅子を押していると、汗が吹き出て来た。湿度で防護眼鏡が曇り、ベタつく汗は少しも乾かない。先日の37度の乾いた暑さの方がこの蒸し暑さより好きだ。
涼しいので、緑道公園のあちこちでネコが遊んでいた。猛暑の頃は1匹も会わなかったのに、彼らは気温の変化に敏感に反応する。
涼しさで、自然公園は人出が少し回復していた。久しぶりに顔馴染みに会って母は喜んでいた。いつもの椎の木陰で休むと涼風が心地良かった。目をつぶると、昔、山歩きをしていた頃の稜線を吹き抜ける冷たい涼風を思い出した。思い出は今を充実させてくれる。
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