日南市大堂津から母の古い知人が来訪した。07年10月7日
昨夜は2時まで今回の本の企画書を書いていた。完成しても編集部で殆どを削られるので、多めに書いておく必要がある。文芸作品なら無茶に削られることはないが、実用書に類する企画は概ねそのようなものだ。殊に、今の出版不況下には昔の大らかさはない。
原稿に添付するイラストも描いた。本業のこちらは抵抗なくスラスラ描ける。気分が乗って沢山描いているうちに、企画とは関係ないアイデアが浮かんだ。今回の企画が潰れたら、そちらで売り込みをかけようと思う。
イラストはスミ一色の線描き。昔はロットリングのペン細中太の3種を使い分けて描いた。今は市販の普通のボールペンで描く。ボールペンは動きが滑らかだが印刷向きではない。しかし、今はデータ入稿なので、スキャンしてホトショップで濃度を調整すれば問題ない。
母の体調は不規則に変化する。朝は元気でもお昼からは口もきけない程に疲れてベットにつくことが多い。昨日も、散歩から帰ってからしばらくは元気だったが、姉が訪ねて来て話をしている内に、無口になった。すぐに買い置きの強壮ドリンを飲ませ、1時間程そっとして置くと、少し元気になった。今は強壮ドリンクの心理的効果があるが、そのうち効かなくなるだろう。
咳も増えた。もしかして、肝臓に残っているガンが肺に転移したかと厭な考えが浮かぶ。母の症状と、昔、ガンノイローゼの頃に読んだ医学書との一致点が気になる。こんな時の医学知識は却って悩みを増やすだけだ。むしろ、専門家に丸投げする方が賢明だ。
一昨日に連れて行った浮間生協診療所の医師は「いつも通りで、お元気で良かったですね。」と、笑顔で接してもらえ、母は安堵していた。医師は母の年齢を考慮して、特別に症状が出ない限りそっとしてくれる。老人のガンは熟年とは大きく違い、急変することが少ないので精緻な情報は意味がない。しかし、それが大病院の診察ならすぐに精密検査をする。そして、悪いものが見つかったとしても「お年ですので何もしないほうが・・・」と放置する。何もしない点では浮間生協診療所と同じで、母に不安を与えないだけ診療所の方が優れている。
今9時半。九州日南市大堂津から母の古い知り合いが息子と孫に連れられて来訪した。東京の清々しい秋の空気に、まだ夏の日南から来た知人たちは驚いていた。彼女はすでに80歳半だが、足腰はしっかりしていて元気だ。日南地方に長命な方が多いのは、暖かい気候と人情と清浄な大気に加え食物が良いからだろう。
彼女を連れて来た息子は私の小学校の3つ後輩にあたる。のんびりした訛りで聞く郷里の様子が懐かしい。郷里の空気に更に長く触れていたかったが、母が会話に耐えられるのは1時間が限度。心を残しながら彼女たちを下まで見送った。
環八へ通じる道へ消えて行く彼女の東京の親戚が運転する白いバン見送りながら、母の体調の低下を思うと、これが最後の再会のような気がした。
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