老人達には、変わらないことが幸せ。07年11月5日
曇りの予報は外れ、午前中は爽やかな日射しに恵まれた。
本格的に紅葉になる前、木の葉は葉緑素が薄くなって透明度を増す。今、赤羽自然観察公園のイヌザクラはまさに緑が抜け終わる頃で、クリーム色のガラス細工のような葉が清楚である。この桜の花は記憶にはないが、秋の葉色は実に華やかで美しい。
今日もいつもと変わりない散歩だった。いつものように、同じ顔ぶれと挨拶し同じことを話した。若い頃は昨日と今日が同じであることが恐怖だったのに、今は変わらないことに安堵している。いつもの管理棟前のベンチで「元気な姿にお会いすると、ホッとします。」と、Oさんたちが母に話していた。老人達にとって毎日は戦時中と同じで、その日その日に無事な顔に会うと安堵するのである。
昨日は、ベンチ傍らの空き地で、公園で取れた餅米を使い餅つき大会をしていた。輪投げ台もしつらえ、輪が入れば賞品が出たようだ。通りかかった管理事務所の係が「来年も輪投げをしますから、今度は参加して下さいよ。」と皆に話していたが、母達は一斉に「来年のことは、分からないよ。」と笑っていた。
母の帽子は秋用に変え、母の希望でイトーヨーカ堂で買ったピンクのカーネーションを付けた。日に日に、少しずつ弱って行く母には、好きなようにさせている。散歩から帰宅して車椅子から下りるとき、春までは一人で立てたのに、今は私の支えがないと立てない。
夜10時。母が激しく咳き込むのが聞こえたので、書くのを中断して母の背中をさすって来た。咳だけでなく、透明なタンに、時折、薄く血が混ざるのも気になる。悪く考えれば、肝臓ガンの肺への転移。よく考えても、簡単な病名は思いつかない。だが、原因が特定されたとしても、高齢の母にはたいした意味はない。毎月の定期診察の時、内科医はいつも丹念に聴診器をあててくれる。呼吸音を聞くだけで、気管支の腫瘍など多くの異常が分かる。医師が悪いことを言わない所をみると、呼吸音を乱す程の腫瘍はないようだ。
最近、母のことは医師にまかせ、私は多くは考えないことにした。
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