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2007年12月14日 (金)

ヘタウマ絵本全盛の今、絵本作家とは呼ばれたくない。07年12月14日

先日、仕事関係から経歴を知らせてくれと頼まれた。経歴はホームページのプロフィールにあるから、それを参考にしてくれと言ったが、先方が知りたいのはそれではなく、私が何者かであった。あらためて言われると、自分でも何者かは分からない。職種は絵描きが一番近いが、一般的な絵描きと同一視されると違和感を感じる。25年間携わった彫金職人の要素は捨てたくないし、サバイバル力と介護能力も盛り込みたい。そんなことをうだうだ考えながら、返事を先延ばしにしていたら、先方が「一応、絵本作家としておきます。」と言って来た。絵本作家と言われるくらいなら、絵描きの方が良かった。しかし、どうでもよくなって、「適当に」と答えてしまった。

絵本作家だと、子供向きの絵ばかり描いているように誤解される。殊に、子供が描いたように装うヘタウマ調と誤解されるのが厭だ。あれは大人が「タノチイデチュネ。」と言った風に、片言で子供に媚びているのと本質は同じだ。山下清などのように、純真に一生懸命描いた結果のヘタウマなら許せるが、テクニックで子供風に描くのは不純極まりない。大人のプロ作家がこのタイプの絵を描くなら、子供にすり寄るのではなく、究極まで進化させた大人の絵でなければならない。

ここで言うヘタウマとは絵本に限定している。漫画のヘタウマは別で、故人の渡辺和博氏や谷岡 ヤスジ氏たちの鋭い風刺を脱力感で描いたタッチは大好きだった。それらは子供が描ける世界ではなく、完全に大人の世界だったからだ。ファションでも演技でも、大人が子供のふりをして人気を得ようとする態度は気持ちが悪い。

私は大人を対象にした絵本を目指している。しかし、我が国は大人の絵本が定着していない。絵本は子供のもので、絵もヘタウマ調が最良との考えが版元に根強くある。欧米のように大人の絵本の分野が成熟すれば、絵本作家とよばれることに抵抗がなくなるが、当分それはない。

サバイバルの方はかなり自信がある。判断ミスの多い人生を送っているが、ギリギリに追い込まれると、自分でも驚く程に的確な判断が出来る。昔父が、密かに闇金債務者の保証人になったことがあった。結局、債務者は踏み倒して逃げ、父は厳しい取り立てを受けた。しかし、80歳寸前の父はそれがショックで倒れ、取り立ての矛先は私に向かった。この怖さは経験した者でないと分からない。時には、闇金の事務所に拉致され、恐怖のあまり違法な条件をのむ事もある。しかし私は、どれからも巧く逃げ切った。

それはさておき、受注した本の執筆期間の生活費確保に苦慮していたが、知人の尽力で絵が更に数点売れ、なんとか乗り切れそうだ。こちらはサバイバル能力ではなく人運の良さだ。いくら頑張っても独力だけでは限界がある。最後に救ってくれるものはいつも人運のようだ。

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