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2008年1月12日 (土)

赤羽緑道公園。散歩道の個性的な犬達。08年1月12日

朝、もう少し気温が下がれば雪になりそうな雨だった。新河岸川向こう、浮間の建物が霞んで見える。玄関前通路に停めた車椅子にソロソロと向かった母は立ち止まり、「まあ、綺麗。」と目を細めた。母は霧や小雨に煙る風景が好きである。
底冷えがするので、いつもより多くお湯入りポリ容器を膝掛けに置いた。その上に雨具を被せるので、母は温かく雨の散歩を楽しめる。

御諏訪神社前の東京北社会保険病院側の歩道へ行く信号が青になった。いつもは反対側の道を行き、ゴールデンのルイと冊越しに遊ぶ。
今日はいないと思ったのに、彼は庭に詰めだされていた。部屋の掃除をしている間、邪魔をするので出されたのだろう。彼は反対側を行く私たちに気づき、柵から大きな頭を出して尻尾を振っている。「ごめん、ごめん、また明日遊ぼうね。」と、母は何度も謝った。ルイは頭の良い子である。すぐに理解し、奥へ戻って行った。

桜並木の外れで小次郎に会った。彼はセパードと日本犬のミックスで、両親の頭の良さと律儀さを受け継いだ姿美しい古武士のような大型犬である。去年の秋、彼は心ない人に薬物をかけられ右目を失明し隻眼になった。優しく思いやりのある子だっただけに、その惨い事件を思い出すと怒りが込み上げる。しかし、そんな仕打ちを受けたにもかかわらず、以前に増して人懐っこい彼を見ると救われる。

彼は車椅子の母に挨拶して、雨に濡れた体を私にピッタリとくっつけた。小次郎を撫でながら、飼い主のKさんに自然公園入り口にいつもいる小型犬のクーのことを話した。クーはダックスフントとテリアのミックスで、毛と顔が長いとても可愛い元気な子だ。ただ困ったことに極端な若い女の子好きで、女性のグループが通りかかったりすると、その中で一番若い人に、はしたなく戯れつき、ついて行こうとする。先日、遠くから若作りおばあさんが自転車でやって来た時、クーはすぐに駆け寄ろうとした。しかしすぐに、「なんだ、おばあさんか。」とすごすごと引っ返してきた。その時の、失望と照れくささが入り交ざった悪戯っ子みたいな彼を思い出すと可笑しくなる。
「あの子は女好きだから、もしKさんに会ったら、すぐに飛びかかって来ますよ。」
付け加えると、笑顔で聞いていたKさんは困った顔をした。どうやら主語がよく聞き取れず、女好きなのはクーの飼い主だと誤解したようだ。
「違います。女好きはクーちゃんのほうで、ご主人は真面目で礼儀正しい人です。」慌てて言い直すと、Kさんは声を出して笑った。

傍らの小次郎は、母の車椅子に顎を乗せ何か訴えていた。Kさんはすぐに気づき母にビーフジャーキーを渡した。飼い主ではなく、母にねだって好物を得る高等戦術を小次郎はよく心得ている。以前は思慮深い気配りの犬だったのに、怪我以来、自分の意思をはっきり伝えるようになった。
彼が気配りを怠らなかったのは、Kさんに飼われるまで、4軒の里親を転々としたからである。Kさんに飼われた時、内心、ここでしくじったら野良に戻るしかないと思い詰めていたようだ。健康で元気な子だが、Kさんとボール投げをしていても、ゴールデンのように際限なく疲れ果てるまで遊んでもらおうとしない。飼い主を疲れさせないように配慮するのである。そのように謙譲の美徳を心得た彼だったが、今回の事件で飼い主や回りの人達の優しさを深く理解した。私も母も、少し我が侭に普通の犬に近づいた隻眼の小次郎が大好きである。

☆☆彼らの写真は、左サイドバーの写真日記にあります。

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