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2008年1月21日 (月)

世の中、平穏無事は少なく貴重なものだ。08年1月21日

一昨日の夜から、母が睡眠導入剤レンドルミンを飲むタイミングを私が管理するようにした。おかげで、母の睡眠はかなり改善し、日中のふらつきは消えた。
十分に睡眠を取っても、日中の居眠りは増えている。テレビを見ていると思って様子を見に行くと、スースーと居眠りしている。悩みも苦痛もなく、夢と現実の区別がつかなままに死を迎えられるなら素晴らしい。私もできることなら、酔生夢死の中で最期を迎えたい。

今朝の散歩途中、桜並木の何でも屋の主人に会った。彼は大柄で血色のいい60代である。私たちはたいした客ではないが、会えばいつも大きな声で挨拶してくれる。1ヶ月近く前、彼は足首をくじいて店にあまり出なくなっていたが、定休の今日は、杖なしでソロソロと物置の片付けをしていた。
「松葉杖が取れて、良かったですね。」
後ろ姿に母が声をかけると、主人は笑顔で振り返った。
「足は時間が経てば治るけど、胃の方はそうもいかなくて。」と、どこか浮かない顔だ。
手術は初耳なので聞くと、足をくじく前に早期の胃ガンで3分の2を切除し、今は食事が大変だと言う。
「早期なら完治ですよ。手術できて、本当に良かったですね。」
慰めたが、主人は曖昧に笑った。気休めにならなかったかな、と思いながら別れた。

その店は野菜から総菜、酒に至るまで、何でも扱う田舎風の食料品店で、私は勝手に何でも屋と名付けている。店頭ではいつも老人達が酒を立ち飲みしている。私たちが通ると老人達は大きな声で「よっ、元気だね。」とか「気を付けて。」とか声をかけてくれる。だから、店が閉まっていると母は寂しそうだ。
「元気でいてくれると良いのにね。」
母は何度も主人のことを気遣っていた。世の中、外見は明るくても、内情は複雑な場合が多い。平穏無事は何処にでもありそうで、意外に稀である。

3月末締め切りへ向かって原稿書きに没頭している。男が一人で老後を生活する為の実用書で、経験した記憶を掘り返すだけだ。だから、創作物のような大変さはない。料理の項目では、母の食事を作るようになってから止めた料理を思い出しながら実証している。実証すれば、できた料理をつい残さず食べてしまう。今の作業で、大変なのは過食を避けることかもしれない。

Ma_3

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