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2008年1月25日 (金)

夕暮れに、老々介護が忍び寄る。08年1月25日

北側の窓際で仕事をしている。冬の間は窓を開けないので、去年末に梱包用のプチプチパッキンを二重にし、梱包するように窓全体を覆ってガムテープでとめた。しかし、このところの強い寒気は、プチプチの防護壁を打ち破り容赦なく侵入する。夕暮れ、窓からの冷気を感じてプチプチの点検に外に出た。ドアを開けると、新河岸川対岸の街を照らす夕日が目に飛び込んで来た。モヤの中に浮かぶ赤い太陽は頼り気ないようで優しく、サティのピアノ曲のように思えた。
窓のプチプチにほころびはない。オイルヒーターを強にすれば仕事部屋はすぐに暖かくなるが、この冬は何とか、弱で耐えようと思っている。

夕食後、母をベットにつかせた。仕事を始めると直ぐに母が呼んだ。湯たんぽを温め直すのを忘れていた。布団から取り出した湯たんぽは、一昼夜経てもまだ暖かく、それに新しい水を加えて湧かし直すのが日課だ。

ベットへ湯たんぽを取りに行ったのに、傍らのポータブルトイレのバケツを下げて台所へ行ってしまった。間違えたのは、最近、考え事が多過ぎるからだ。
「うっかり、バケツのおしっこを湧かすところだった。あと五つ六つ年取ったら、本当にやっちゃうよ。」
ベットへ引き返し、湯たんぽを取り出しながら母に言った。
「おしっこでも、お湯でも、温かければどちらでも同じよ。」
母はそう言ってから「あら、きたない。」と、自分の言葉に笑った。
念のために、ポータブルトイレのバケツは洗ったのを設置したばかりで空である。

この1週間、寝入ってから小用に起きるようになった。昨夜は3時と4時に起きた。寒さで身体が冷えたから、と自分に言い聞かせたが、本当は年のせいで、老々介護の足音を身近に感じる。

今朝は内科の定期診察日で、川向こうの生協浮間診療所へ母を連れていった。予約なので待ち時間は殆どない。医師はいつものように聴診器をあてて慎重に診た。そして、「お元気ですね。」と言って、母と気候と正月の話をしていた。本当は肝臓の腫瘍マーカー値は高く、調べれば再発や転移のガンが見つかる。しかし、精密検査をして見つけたところで、94歳の母に打つ手はない。むしろ、何もしないのが最良の治療である。だから、医師は詳しく調べましょうとは決して言わず、「大丈夫です。」と、いつも大らかに元気づける。
高齢者医療は江戸時代のアカヒゲのような医師が適している。機械に頼らず、自分の五感でしらべ、自然な治療を配慮し、治療が無理なら言葉で元気づける。母のかかっている医師もそのような人で、母はとても信頼している。

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