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2008年2月12日 (火)

冷たい雨の中、王子稲荷の初午に出かけ101円を拾った。08年2月12日

今日は初午。雨予報の中、王子稲荷へ向かった。外へ出ると小雨が落ちてきたので、車椅子の母に雨具を被せた。

緑道公園で長く会わなかったおばあさんに会った。いつも白のマルチーズを連れて私たちを待っていた人だが、去年夏前からぷっつり姿が見えなくなっていた。
「具合が悪いのでは、と心配していました。」
母が彼女の手を取って言うと、「私も、毎日来て、奥さんが見えるのを待っていました。」と、彼女も母と同じようなことを言う。母も私も怪訝に思ったが、とにかく元気な姿に再会できて良かった、と挨拶して別れた。
しばらく、歩いて、
「毎日来ていたって、おかしいね。そう言えば影が薄くなかった。」
母は、今会ったおばあさんは、この世の人じゃないと言う。
「馬鹿馬鹿しい。あの人と手を握り合ったでしょう。」と言っても、握った感覚が残っていないと納得しない。確かに、彼女はいつも明るい暖色系の服装なのに、今日は全身黒っぽい服だった。それではと、彼女の表情を思い出そうとしたが、どうしても思い出せない。やっぱりあの人は、と一瞬思ったが、そんなはずはないと考えるのを止めた。元々母は人を亡霊にしてしまう癖がある。

地下鉄南北線は去年の初午以来だ。赤羽岩淵駅で駅員を呼び、エスカレーターを車椅子用に変えてもらった。相変わらず、南北線の駅員はてきぱきと心配りが行き届いている。

王子に着くと、雨は本降りになっていた。しかし、人出は多く、人混みの傘を避けながらソロソロと車椅子を押した。左右の出店から朦々と美味しそうな湯気がたなびく。寒い雨の縁日は、近未来の風景のような、不思議な情緒がある。
いつものように王子稲荷裏門への急坂を一気に車椅子を押し上げ、本殿脇に母を置いてお詣りした。それから火災避けの凧のお札を受けようと、社務所への行列に並んだ。並んでいる間、ふと下を見ると泥にまみれた100円玉が落ちている。拾おうとかがむと、更に先に1円玉が落ちていたのでそれも拾った。お詣りした直後にお金を拾うのは縁起がいい。

社務所で1200円の凧のお札を受けた後、拾った101円と同額を本殿の賽銭箱へ戻しておいた。それから小さな祠、一つ一つに詣って、母の所へ戻った。
帰りは飛鳥山脇の音無川親水公園へ回った。公園を跨ぐアーチ型の古い橋が美しいので、橋を背に母の写真を撮った。これは兄への葉書に入れる。

地下鉄で赤羽に戻り、昼の買い物をして帰宅は1時を過ぎていた。
今年も初午にお詣りできて、母はとても喜んでいた。母には季節の行事一つ一つが、最期との思いがある。拾った101円は縁起物としてしまっておいた。

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