南蔵院のしだれ桜から、渋谷の画材店ウエマツへ。08年3月30日
29日土曜日
今日は好天で更に桜満開。自然公園の後、しだれ桜の名所南蔵院へ回った。南蔵院境内で野点をやっているので、抹茶好きの母は楽しみにしている。
自然公園公園正門から凸版印刷前を右折して、蓮沼町を西進すれば中山道沿いの南蔵院に着く。街の風景は1年の間に微妙に変わっていた。去年まで、いつも玄関先で猫が寝ていた家は取り壊され、他にも、駐車場に代わった住宅地が数多くあった。
南蔵院は、土曜と重なり桜見物の人が多かった。境内での野点は開始時間が遅くなって味わえず、母は失望していた。本堂下に母を待たせ、階段を上ってお釈迦様に甘茶をかけ、お詣りを済ませると早々に帰路についた。
帰りは蓮沼の裏道を雪印工場跡に建つ巨大マンション東京メガシティを目標に歩いた。マンション近くのスーパーいなげやでお昼の食材を買い、それから新河岸川へ下り遊歩道の桜を眺めながら帰宅した。これで近所の桜の名所は総て母に見せたことになる。
昼食後、画材を買いに渋谷ウエマツへ出かけた。昔は活気のある店だったが、今はひっそりとしている。相変わらず、絵描きの世界は厳しいのだろう。一階の日本画絵の具売り場で色鉛筆の新製品を物色していると、傍らで、地方から出て来た日本画家のおばあさんと経営者らしいおばあさんが世間話をしていた。画家は知人宅に泊まり暫く東京に滞在する様子だ。のんびりした二人の語り口に少しホッとした。
都心へ出ると相変わらず疲れる。帰りの車中で若い男が右手でミルクティーのボトルをチビリチビリやりながら、左手で携帯メール打ちをしていた。電車が揺れる都度、ボトルのミルクティーを周囲にぶちまけそうになるが、飲むのを止めない。「男なら乗る前にグイっと飲んで乗れよ。」と、ブツブツつぶやきながら男から離れると、今度は座席の若い女がポテトチップをクチャクチャ食べ続けている。この風景はまさしく空気が読めない若者言葉のKYなのだが、若者達は自分自身のことには寛大だ。若者が人前で品悪く食べるようになったのは、家庭で躾られていないせいだ。
帰宅は5時30分ジャスト。どうにか、母の夕食に間に合った。
先日、9月に銀座の画廊に空きが出て、急遽、企画展を頼まれた。今まで個展は総て断り続けていたが、今回は受けた。今続けている本作りの苦労より、まだ絵で苦労する方が楽しいと考えたからだ。本の仕事が中断している間に、作品数枚を完成させる予定だ。
今日の朝日新聞で中国絵画市場の活況を特集していた。大要は現代アートが数億で取引されていると言った景気の良い話しだが、それを芸術の活況と言うのは短絡に過ぎる。極めて少数の作家が投機の対象になっているバブルで、中国の芸術全体の水準が高い訳ではない。庶民レベルで健全な市場が形成されているのを芸術の活況と言い、金儲けの為の高額取引ではない。このような活況は、やがて投機性が崩れ急角度で大暴落する。
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