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2008年4月20日 (日)

好感を持てる励ましと、持てない励まし。08年4月20日

19日
外に出ると曇り空で風が冷たい。緑道公園の新緑は昨日の雨でより深くなった。
桐ヶ丘体育館近くのベンチで顔馴染みのおばあさんと50代の女性が話をしていた。母が挨拶するとそのまま3人で世間話が始まった。話題はいつも健康のことである。
「大正2年生まれだから、もういつ逝っても仕方がありません。」
母が言うと、「そんな気弱なことを言うものではありません。あと10年は大丈夫です。」と50代の彼女が言った。好意で言っているのは分かるが、この手の非現実的な励ましは私も母も厭である。これは、鬱病患者に「頑張れ。」と励ますのと似ている。既に十分に頑張って来た母に、「更に10年頑張りなさい。」は酷である。

似たような励ましで、自然公園で出会う60代後半の男性の言葉を思い出す。
彼は元気で明るい人だが、母に会うといつも同じことをしんみりと話す。
「親は亡くなって始めてありがたみが分かります。生きている頃はそれ程感じなかったけど、死なれてみるととても寂しい。親が生きている間は大事にしないといけませんね。」
この励ましは母も私も素直に受け取れる。前者の彼女と彼の違いは人生経験の差かもしれない。

風は冷たいが、新緑は実に美しい。もし生活に疲れていたら、立ち止まって、近くの自然の中を散歩すると良い。幸い、東京には素晴らしい公園が多い。今の瑞々しい新緑を知らずに過ごすのはとてももったいない。

20日
今日も曇り空で風は強い。気温は高いが、今日のような気候は母に着せる服に苦慮する。結局、ショールを使って、風の冷たさにも暖かさにも自在に対応出来るようにした。

自然公園はピクニック客で賑わっていた。母がトイレを使い終わると、管理棟前の八重桜の花見をしていた老人グループが私たちを呼んだ。老人たちはビールを飲んで行けと言う。本当は断りたいが、好意は無にできないので、一気飲みして車椅子を押した。古民家から帰路に着く頃、いい気分になった。

帰宅するとすぐに、母に薬を舞茸の煎じ汁で飲ませるのが日課だ。
冷蔵庫の煎じ汁の容器からカップに入れ、ドアを閉めると変な音がした。ドアを開けると庫内に赤ワインがこぼれている。煎じ汁容器の置き場所が悪く、ドアに押されてワイン漬けプルーン容器にぶつかり割ってしまったようだ。残ったプルーンは別容器に移し、タオルでワインを拭き取っていると、ガラス破片で左手小指を切ってしまった。ガラス破片はカミソリのように鋭利で、傷は1センチほど縦に裂けている。すぐに、流水で傷口を洗い、液体傷絆創膏を塗った。これはセメダインのような接着剤で、傷口に塗ると透明に固まり、すぐに水仕事ができる。おかげて、昼食の支度も後片付けもいつものようにできた。これは最新の傷治療方法で、消毒せずに乾かさないようにすると治りが早い。

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