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2008年5月10日 (土)

母は気晴らしに点滴をしてもらった。08年5月10日

昨日は母は少し元気を取り戻したのに、今朝はベットから起き上がれない。それを何とか励まして、朝の薬を飲ませた。朝食も食べたくないと言うのを、ようやく半分だけ食べさせた。明日は日曜で病院は休診。寝ていたいと言うのを無理に起こし、強壮ドリンクを飲ませて、川向こうの生協浮間診療所へ連れて行った。午前9時、待合室は誰もいない。事前に電話を入れておいたので、すぐに看護婦さんがベットに寝かせてくれた。

いつもの土曜担当の若い医師ではない。代診の老医師は母を殆ど診察せずに、老衰ですねと言い放った。この投げやりな態度を見ると、今日の患者が少ない訳が分かる。老人同士の口コミは凄い。悪いと噂が立てば、患者は潮が引くように消える。
いいかげんな医師だとこちらの意見が通しやすい。母が点滴を希望していたので、その旨医師に伝えると、200mlにしますか、300mlにしますかと私に聞く。少ない方が早く終わるので、200mlにしてもらった。点滴の早さは、心臓が弱っているからゆっくりが良い、と医師は指示していた。投げやりでもその辺りは慎重だ。一番遅いのでは2時間かかるので1時間ペースにしてもらい、一旦私は家に帰った。

1時間後に診療所へ戻ると、まだ10ccほど残っていた。母がトイレへ行きたいと言うので、看護婦さんに点滴を抜いてもらい、連れて行った。点滴はただのリンゲル液で、元気にする働きはない。しかし、母は看護婦さんに身体がすっきりしましたとお礼を言っていた。もしかすると、疲労は気分の所為では、と少し楽観的になった。

診療所から小雨の中桜並木へ車椅子を押した。御諏訪神社先の民家の柵の間から、ゴールデンのルイちゃんが鼻先を出して私たちを待っていた。母の杖に付けた鈴の音を彼はよく知っていて、聞こえると家から出て来る。
「おばあちゃんは元気がないんだよ。」
頭を撫でると、ルイちゃんは傍らの母の手をペロペロとなめた。大きな黒い目が優しく、とても可愛い。それまで暗い顔をしていた母に笑顔が戻った。ペットの癒し効果は本当に素晴らしい。

濡れた舗道が美しい。桜並木から東京北社会保険病院の庭へ車椅子を押し上げて散歩した。しかし、母は帰りたいと無口になった。以前なら、自然に触れるだけで元気になっていたのに、老いは停めようもなく進む。
帰宅すると姉が来ていた。姉がいると少しだけ私は楽になる。ベットに休ませたり、トイレの補助は姉に任せ、私は横になった。ここのところ4時間睡眠が続く。加えて、本の編集方針が揺れ動いていてストレスが重なる。頭が冴えて寝付けないまま起き上がり昼食を作った。食事を始めた母は傍らの姉に帰るように言った。姉はお喋り好きで、ついつい話しかけ、母の集中を途切れさせる。集中が途切れると母は誤嚥を起こす。一緒に暮らしていない姉には、母の体のことは理解出来ないようだ。

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