新河岸川の透明な波。08年5月19日
母はいつも食事をすれば吐き気を催すようになった。何とか、吐き気止めナウゼリン無しで食事ができるように努力して来たが無理だ。今は考えを変え食前に必ずナウゼリンを飲ませている。この薬は脳の嘔吐中枢を抑制するだけでなく、胃腸の働きを活発にする。美味しい食事とはいかないが、必要最低カロリー摂取は何とか確保できている。
金曜から服用し始めた利尿剤の効き目で尿量が増え、母の足の甲の浮腫みが若干取れた。この様子では肺の水も減ったかもしれない。更に減れば吐き気や疲労感も軽減するだろう。
日曜日に姉が来たので、午後2時に母を任せて画材を買いに出た。母のことを気にせずにすむ外出は心地良い。北赤羽駅へ続く遊歩道で、ボーっと立ち止まって新河岸川の流れを眺めた。そのような何でもない事が楽しい。
池袋で下車し、駅前の売り場で何となくスクラッチ宝くじ5枚を買った。内1枚が200円の当たり。運気は小吉と言ったところか。それからパルコ6階の世界堂へ行く。途中の婦人服売り場には、買い物の若い子が多い。色黒流行の頃は汚く日焼けしている子が多かったが、最近は色白の子が多く、気分が華やぐ。
世界堂で筆を買い、それからビックカメラへ移動して電動歯ブラシの替えブラシを買った。店内はどこも買い物客で一杯だ。景気は良くなっているのだろう。
出てから2時間以内に家に帰り着いた。午後4時前で明るい。直ぐに家に入らず、玄関前から眼下の新河岸川を眺めていると、下流から遊覧船が遡上して来た。船名は「さくら」。船の波が河岸を打ち、護岸のコンクリート斜面を押し上がる。波は意外に透き通っていた。
遊覧船が通り過ぎるのを待って、家へ入った。姉は帰り支度をして待っていて、私を見ると「じゃあね。」と入れ違いに帰って行った。姉は黙っているのが苦手だ。母はお喋りの相手をすると疲れるので、姉に話しかけないように言って外出した。だから、2時間を黙って過ごすのは苦痛だったようだ。
最近、無闇と眠い。母の様子を見て自室に戻り、5分の予定で横になった。しかし、目覚めたのは5時半。それから夕食の準備をし、母を食卓に着かせた。
母には少しだけ無理をさせている。体調に任せると、一日ベットに横になって過ごし、1週間で寝たっきりになってしまう。外出は母を生き生きとさせる。寿命が早く尽きることになっても、散歩に連れ出す今の生活は変えないつもりだ。
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