梅雨明けて、初秋まで長い耐久レースが始まる。08年7月19日
9月1日からの個展案内状用の絵を描いていたが、良い作品にしようと欲が出て、遅々として進まない。先日、ついにしびれを切らした画廊から催促メールが来た。折り返し電話すると、即座に22日と日限を切られてしまった。昔から、のんびり仕事を抱え込んでしまう癖がある。しかし、いつまでと決められると意欲が湧き、無理な日程でもこなしてしまう。まとまりなく散乱していたアイデアが一つに絞り込めるからだ。
母は連日粗相が続き、気落ちして元気がない。昼間でもテレビを点けず、死んだようにベットに横になっている。小の粗相なら尿漏れパンツで対応出来るが、大は簡単ではない。殊に、外出中の粗相は悲惨だ。車椅子用トイレは、広くて洗い場にゴミ箱も完備しているが、それでも大変な作業になる。
最近、咳止めとしてリン酸コデインを処方してもらった。咳中枢に直接働きかける即効性の咳止めだが、同時に腸の蠕動をおさえるので下痢止めにも使う。これを少量飲ませておけば、外出中の粗相は避けられそうだ。しかし、便秘にしては元も子もない。緩下剤との調整が難しい。
朝の散歩の行きがけに、母が兄へ書いた写真葉書を投函した。葉書の写真は6月30日に撮ったものだが、今の母よりずーっと元気に見える。僅かな間に随分弱ってしまった。ふいに、母が逝く日は遠くないかもしれないと寂しくなった。今は吐いたり、粗相をしたりして大変だが、それでも生きていてくれるだけで良い。
梅雨明したようで日射しが強い。自然公園へ着くまで、母に何度も霧吹きするので2度水を補給した。母の麦わら帽子下の濡れおしぼりは、保冷剤で冷やしたものと何度も取り替えた。体力が弱っていても、それらの措置で熱中症にならないですんでいる。
自然公園に着くと「いつも、お元気ですね。」と顔馴染みの老人が声をかけた。
「とんでもない。見かけばかりで、中身はボロボロです。」
母が笑顔で答えると、老人は「いやいや、それでも笑顔が出るのが良いです。お会いすると、自分も頑張れると元気が出ます。」と言う。何も出来ない寝たっきり寸前でも、存在意義があると言われ母は嬉しい様子だ。それまで無口だったが、少し元気になって言葉が出るようになった。
公園の水辺は夏休みに入った子供たちで賑わっていた。しかし、水辺から離れると閑散としている。猛暑が始まって、常連の老人の半数は顔を見せなくなった。これから二ヶ月、老人達にとって厳しい耐久レースになる。
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