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2008年7月16日 (水)

9月の個展モードに入って、一日中絵描きをしている。08年7月16日

今日は盆の送り火。昨夜も常夜灯のように盆提灯を点けておいた。絹張りの淡い光が美しい。歳を重ねるにつれ、死者たちに親しみを覚えるようになった。その内、私の知人は、生きている者より死者たちの方が多くなるのだろう。

案内状用の絵を延々と描いている。一度寝入ってから突然目覚めて、深夜にキャンバスに加筆することもある。そのように気に入らない箇所を見つけては修正するので、なかなか終わらない。若い頃は、描く行為自体が新鮮で、小さい事を気にする間もなく、力技でグイグイ描き上げていた。しかし、経験を積むとそうはいかない。そのように徹底的に粘っていれば、その内に突然に突き抜け、筆に加速がつく。それもまた、経験で学んだことだ。

東京北社会保険病院下の桜並木外れの、青の竜舌蘭の花は莟の房が大きくなって開花寸前だ。この暑さで、後10日もすれば黄色い花が開く。60年の一生の最期に咲く花だけに、悠然と咲き、悠然と枯死するのだろう。今日も、写真片手の見物人がいた。一生の最期にこれほど注目される植物は珍しい。
--写真日記6月18日に掲載。場所も明記。

霧吹きのおかげて、母は炎天下の車椅子散歩に耐えている。
私も汗だくで自然公園の椎の木陰に辿り着き、腰かけ代わりの切り石で休むのを楽しみにしている。暗い木陰から風に揺れる木々を眺めながら、飲む梅酢入りの冷水は美味い。椎の木陰の涼風は、どんなに高級な空調より素晴らしい。もし、木陰に籐の寝椅子を置いて、のんびり昼寝ができたら、最高の贅沢だろう。

椎の木陰の次にいつも休む古民家は燻蒸の日で休館だった。茅葺き屋根の虫除けの為、1年中、かまどで薪を燃している。しかし、その煙りだけでは不十分なので、年に一度、燻蒸業者がやって来て、煙り発生竃から太いパイプで屋内に煙りを送り込む。家一軒を丸ごと薫製にすると思えばいい。

iPhoneは世界では大ヒット中だ。繰り返すが日本は別だ。原宿でのインタビューで、
「ワンセグが見られなくて、片手入力も、お財布携帯も出来なくて、絵文字も打てなくて、ストラップもデコ電もダメなんて、最低。」
と、若い女の子が答えていた。いずれの機能も日本独自に発達した大衆文化だ。それを否定して、「最高の世界基準なのだから、お前達が合わせろ。」では、広く受け入れられるのは無理だ。所詮セカンド携帯で、メインにはならないだろう。

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