装丁用の絵を納品した。08年8月6日
朝日夕刊に、板橋美術館でボローニャ絵本展が17日まで展示されているとあった。世界の99人入選の中20人が日本人である。一見、誇らしいが、絵本にかかわっていた者としては複雑な心境だ。日本の絵本作家志望の若者たちには、国内ではまったくチャンスがない。それで大挙して海外に活路を求めた結果と、私は見ている。国内の絵本の現状は惨憺たるもので、トップ10人ほど以外の作家には仕事は殆どない。トップには本当に力がある作家もいるが、道徳観が文部省や保守的な母親の受けが良いから、としか思えない作家も多い。数年前、老舗絵本出版社編集と会った時、新作は殆ど出版されず、昔のヒット作をリニューアルしてしのいでいる、と自嘲的に話していた。今はその頃より更に出版不況は進んでいるだろう。
昨日は豪雨の中、日本生命倫理学会へ学会誌装丁の絵を納品に出た。
落雷の影響で電車のダイヤが乱れていた。遅れにイライラしながら埼京線と京浜東北線を乗り継いで、王子から地下鉄南北線で東大前に出た。本郷通りを東大とは逆方向の駒込方面へ北上すると事務局のある浄心寺がある。この通りはなぜか美人が多い。豪雨の中、レインコートを翻して長い美脚を大股で運ぶ憂い顔の20代。片手に短靴を下げ、裸足になって楽しそうに歩く10代。雨に濡れた、ふくらはぎからアキレス腱のラインが瑞々しい。
女性たちに見とれている内に、いつのまにか浄心寺に着いた。この寺は入り口のキッチュなコンクリート作りの布袋様で有名だ。その脇の虚空蔵菩薩を祭ったお堂が事務局で、風変わりな雰囲気が面白い。絵を納品した後、線香の香る事務局で編集のOさんと雑談した。
画料はすぐに貰えた。たまたま事務局監査役の聖路加病院院長日野原重明氏の口添えで、2万円上乗せされていた。個展案内状の切手代が予定以上にかさんでいたのでとても助かる。加えて、母にお見舞いにと、上品なお菓子を頂いた。
帰路は雨が止んでいた。電車の遅れは回復せず、北赤羽まで1時間程かかった。駅近くの薬屋で母用に強壮ドリンク剤を買って急いで帰った。
母の食欲不振と吐き気は治まらず、夕食を殆ど残した。その症状は半月前から飲ませ始めた、咳止めのリン酸コデインの副作用かもしれない。良く効く薬だが、副作用に吐き気と食欲不振がある。その夜から服用は止めさせた。
翌朝、母の吐き気は少し治まっていたが、酷い疲労感でベットから起きられない。早速、強壮ドリンク剤を飲ませると、30分ほどでやや元気を取り戻し、朝食を摂ることができた。
食後は散歩へ連れ出した。疲労が強いのか、母は一言も喋らない。それでも、次々と顔馴染みに会って挨拶を交わすうちに、いつもの元気が戻った。こんな時、散歩の素晴らしさを実感する。
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