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2008年9月18日 (木)

出戻りの絵の、彼女の視線。08年9月17日

今頃、個展の疲労が出て来た。個展が終わった直後は母の体調回復が気になり、自分の疲労は気づかなかったようだ。夜は気怠くて、まったく仕事をする気になれない。12時に就寝するが、5時かっきりに目覚め、一日中寝不足ですっきりしない。午後は必ず午睡を取るが、雑用が多いので十分ではない。

F123xx_3ところで、売れた作品ナンバーf-123の女性像が戻って来た。買った人は、それを結婚した娘にプレゼントするつもりだったが、画廊が納品日を娘に問い合わせると、送らないでくれと拒絶された。
どうやら訳ありの父娘で、娘は父からのプレゼントを絶対に受け取りたくない様子だ。父から娘へのプレゼントだと聞いた時、娘にプレゼントするタイプの絵ではないので、違和感を感じていた。だから、画廊から連絡があった時、なるほどと思った。多分、娘心の分からない父親なのだろう。

絵は連絡のあった16日に、すぐに銀座へ出向いて引き取って来た。
今は仕事部屋中央にかけてある。絵を見上げると彼女が「何故、私を他所へやろうとしたの。」と、心なしか恨めしげに私を見ているような気がする。「絵の結婚指輪がとても気になる。」と画廊のKさんが言っていたが、そう言われると私も気になる。近く、結婚指輪を消して、絵は末永く手元に置いておこうと思っている。
そう思い直して再度絵を見上げると、彼女はちょっと微笑んだように見えた。

売れ残って戻った額は総て片付き部屋が広くすっきりした。
今は毎日、少しずつ不要品を捨てている。私の品だけでなく、母の持ち物も処分している。母の手芸材料の端布に糸類、袖を通すことのない衣類も沢山捨てた。それらは母が逝けば片付ける品々だが、母が生きている今の方が寂しさは薄くて捨てやすい。母には「私が気づかないように、こっそり捨ててほしい。」と、言われているので黙っている。

絵を引き取りに行った日、北赤羽駅で20分の電車待ちだったので週刊朝日を買った。
ホームで読んだ記事の中に大ヒット本「お一人様の老後」の著者上野千鶴子氏のコメントがあった。「・・・一人暮らしに、お寂しいでしょう、と言うのは止めて欲しい。ことに、そのライフスタイルを選んでいる場合は、余計なお世話と言うもの・・・」とある。「余計なお世話」は彼女の言動にしばしば登場する拒絶の言葉だ。

私もライフスタイルで一人暮らしを選んでいるが、「お寂しいでしょう。」と言われても腹は立たない。自ら選んだ生き方でも、寂しいものは寂しい。だから、言った相手が妙齢の女性なら「寂しいから、付き合って。」と懇願する。そうでない相手なら「孤独死は厭だから、時々、茶のみ相手や、メールや電話で様子をみてくれ。」と頼む。後の場合、多くの人は快諾してくれる。「お寂しいでしょう。」は、庶民一般では気遣いの言葉で、堅苦しく受け取ると角が立つ。

そんな考えの私に去年の今頃、同出版社から「お一人さまの老後」男性版の執筆依頼が来た。
編集部を通じての上野氏の条件は可愛気のある中年男にする本だった。私の本心は「可愛い親父なんて気持ちが悪い。」だったが、金の為なら黒を白にでも言いくるめられる、と思って受けた。しかし、編集と軋轢を繰り返し、多大な時間と労力を無駄にして、10ヶ月後に企画は立ち消えになった。だから「お一人さま」の言葉や出版社の名を聞く都度、不快感がこみ上げ、トラウマになりそうな気配だ。

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