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2008年9月 9日 (火)

私たちは、ささやかなことで幸せになれる。08年9月9日

先日の個展期間中、3日だけショートスティさせたら母は気弱になった。
母は馴染みのない施設とスタッフの中で、孤独に打ちのめされたようだ。慢性人手不足のこの業界に、きめ細かいケアは期待できない。しかし、日頃馴染んでいる施設でのショートスティなら、ダメージは小さかっただろう。この結果が分かっていたら、ヘルパー制度を利用して、期間中は自宅に置くことを考慮した。

後遺症で、今朝も母は「何だか気分が悪い。」を繰り返し、足元がふらついた。朝、気分が落ち込むのは欝の症状だ。多分、散歩に連れ出せば解消するだろう。母はこれまで、病気などで階段状に体力が低下して行ったが、今回、そのきっかけになったようだ。

今日は朝から、素晴らしい初秋の空が広がっていた。気温は高いが湿度は低く、御諏訪神社脇の急坂を母の車椅子を押し上げても汗をかかない。東京北社会保険病院下の公園で休息し、持参したかき氷の宇治金を母に食べさせて、進まなかった朝食を補った。私は途中で摘んだヤマボウシの実を食べた。野生の甘味がとても美味い。

--ヤマボウシ。ミズキ科 ヤマボウシ属の落葉高木。初夏に4枚花弁の白い清楚な花を咲かせる。
果実は直径2センチ程の球形。外観はライチの皮の鱗一つ一つに短い突起があると想えばいい。食べ頃は、オレンジ色から紅色に熟したもの。味も食感も熟し柿にそっくりで、甘くてフルーティ。調べると甘酸っぱいと表記されているものが多いが、実際は酸味は殆どない。--

散歩コースの爽やかな風に心弾む。すでに桜の落葉が始まり、桜広場の木漏れ日は1週間前より明るくなっていた。
自然公園は閑散としていて、湿地帯の木道を行くと、樹間に湧水の流れ落ちる音が聞こえた。この清澄さは心洗われる。車椅子の母は気分が良いのか口笛を吹いていた。
古民家前の田圃は稲穂が実り、今年も豊作の様相だ。季節遅れの精霊とんぼが舞い、母にまとわりついた。「甚平さん。来てくれたの。」と、母は80年以上昔に死んだ、大好きだった祖父の名を、精霊とんぼに話しかけた。その後、古民家の土間で休む間、母は明るい表情だった。

これほどに穏やかな初秋は久しぶりに迎える。先週末に終わった個展で、僅かながら絵が売れたからだ。と言っても、年末までの家賃と食費と母の医療費がやっと賄える程度だが、私たちはささやかなことで、すぐに幸せになれる。私たちの生活は、普通の日本国民なら頭がおかしくなるほど不安定だが、先のことは悩まない。絵描きに転身して貧乏生活を続けているうちに、打たれ強くなった。
それにしても、素晴らしい季節だ。それが嵐の前の一瞬でも、心から満喫しよう。

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