大家族の安らぎに憧れている。08年10月11日
夜になってから母の咳がひどく、何度も寝室へ行った。介抱して治まると「すまないね。」と母はあやまる。あやまる必要はないが、精一杯の感謝なのだろう。そのように、深夜、何度も母の様子を見に行くので、このところ寝不足だ。それなのに母は朝5時に私をブザーで起こし着替えの手伝いをさせる。
「最近、疲れているから、明日から好きなだけ眠らせておいてほしい。」と、散歩中に頼んだ。母は「いいよ。」と快諾したが、今朝もその約束を忘れ、ブザーで起こした。さすがに腹が立って、「こっちが倒れたら、共倒れになる。」ときつく言った。
「そんなに迷惑かけているのなら、早く死んでしまいたい。」と、母はいつになく気弱に嘆いた。老いとは困ったものだ。
それで今日の散歩中、「目が覚めても30分くらいは我慢して寝ていて欲しい。」と優しく頼んだ。
「どう考えても私が悪い。」と母は何度も謝っていたが、すぐに忘れるだろう。最近の弱り具合では、母の先行きは長くはない。好きにさせてやりたいが、私も老いて体力が着いて行かない。
姉の急死から大家族に憧れるようになった。要石になる家長がいて、誕生と死が同居する生活のダイナミズムがあって、一族は助け合いながら永続する。封建的でも、そこには安らぎがある。
私は一人暮らしを選んだが独身主義ではない。私の生き方を容認してくれる女性がいたら、一緒になっていた。しかし、絵描きは不安定な職業で、到底、伴侶を幸せにする自信はなく、最後は別れていた。
老境に入っての一人暮らしは寂しい。唯一の家族の母が逝ってしまえば、兄姉、姪たちとの繋がりはバラバラになる。毎日の散歩で出会う知り合いたちとも、繋がりは薄くなる。
それでも、希望は持っている。それが何か今は見えないが、自由に行動すれば何かが生まれると信じている。
8時からのNHKスペシャル「アメリカ発 世界金融危機」を見ていた。今回のアメリカの金融危機は、要約すると巨大な国際的金融詐欺グループが巨額の不良債権を残して勝ち逃げした、と言うことらしい。番組では、どの経済専門家もこれからの予測はできていなかった。間違いないのは、3年近く続く不景気を、我々は耐える他ないようだ。これで、金融立国を掲げた、米英の経済構造は完全に崩壊した。これから、海外に移した実業を自国に回帰させる流れは大きくなるだろう。
景気以上に絵市場の動向が気になる。コンテンポラリーアートはかなりバブリーで、今の状況では暴落は必至だろう。半年前、N.Yサザビーズで村上隆のフィギュア作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」が16億で落札された。それ程高額で取引されたのは、数年後、16億が30億に高騰する期待があったからだ。この動きはバブル期の土地高騰とまったく同じだ。その作品に値段程の価値がないことも、高騰した土地に似ている。
ところで私の絵だが、まったく投機の対象でないので、これからも売れないだろう。
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