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2008年10月 8日 (水)

経済危機に日本人4人のノーベル賞受賞。しかし、お二人は遅過ぎた。08年10月8日

一度に日本人4人がノーベル賞受賞とは、世相が暗く沈みがちなだけに明るいニュースで嬉しい。
物理学賞の南部陽一郎氏も、化学賞の下村脩氏も、受賞研究は昭和30年代と4,50年前。ノーベル賞受賞は成果から平均17年と言われているが、共に異常に長く待たされている。お二人とも80歳代と長生きされたから良かったが、ニュートリノ研究で小柴さんに続いて受賞が期待された戸塚洋二氏は今年7月66歳でガン死して受賞を逃した。

戦前から、日本人受賞は不利な立場に置かれているように思えてならない。人種偏見が根強かった戦前では、第1回ノーベル医学・生理学賞で確実視されていた北里柴三郎はジフテリアと破傷風の免疫研究の成果を同僚のベーリングに横取りされてしまった。

私見だが、欧米受賞者の研究成果水準を見ると、本当は日本人は今の2倍は受賞していても良いような気がする。ノーベル賞は国別の政治的配慮があると言われている。たとえば、アメリカ枠の存在は何となく納得できる。たとえば、下村脩氏が発見した緑色蛍光タンパク質は、カリフォルニア大サンディエゴ校教授ロジャー・チェンが遺伝子配列を変える手法で実用化の道を切り開き、化学賞を同時受賞した。もし、これが日本の学者だったら、受賞に至ったかどうかは疑問だ。更にうがった見方をすると、アメリカ人ロジャー・チェンが絡んだので下村氏にも光が当たったように思える。過去の受賞例を見ると、アメリカ有名大と絡むと受賞しやすいようだ。それは基礎科学に膨大な予算を当て、広く世界に門戸を開いているアメリカの功績でもあるが。

前向きに話しを変える。受け売りだが、これからの受賞で期待できるのは、カーボンナノチューブ発見の飯島澄男氏。ほ乳類の自然免疫系研究の審良静男氏。発生学の浅島誠氏。 細胞内のモータータンパク質研究の広川信隆氏。ブラックホール関係のトミマツ・サトウ解を発見した冨松彰氏と佐藤文隆氏。インフレーション宇宙論の佐藤勝彦氏。光ファイバーを発明した西澤潤一氏。光ファイバーについてはコーニング社より早く発案し出願しているが、単純ミスでチャンスを逸している。アメリカはアイデア尊重の国と思われているが、実際は権利意識の薄い日本人の間隙を縫って、多くの日本発アイデアを盗んでいる。彼は半導体研究でも世界第一人者。なのにまだ受賞していないのは意外だ。近い将来、間違いない大本命はiPS細胞の山中伸弥氏だろう。

しかし、今回受賞の南部陽一郎氏、益川敏英氏、小林誠氏、下村脩氏の4人は上記予測に含まれていなかった。と言うことは、更に多くの予測外の受賞可能な日本人科学者がいることか。

ノーベル賞は、オリンピクの100個の金メタルより遥かに誇らしい。石原都知事は東京オリンピック招聘より、子供たちの科学教育に力を入れる方が、彼の好きな国威発揚に役立つのだが、彼は分かっていない。
それが身に染みて分かっているのは中国だ。神舟7号で宇宙遊泳をしても、米ソがとうの昔にやった陳腐な技で、しかもソビエトの模倣では国際的には大して評価されない。
北京オリンピックでの金メタル独占より、自然科学のノーベル賞が欲しいのは中国の根強い願望だろう。金メタルはお得意の人海戦術で鍛えれば取れるが、ノーベル賞は難しい。その証拠に下村氏と同時受賞のロジャー・チェンに中国メディアが殺到したが、「自分はアメリカ人」と否定され落胆していた。しかし、これからは違う。中国は基礎科学に年間10兆円と日本の3倍近く投入する。すぐに金にならなくても基礎科学は未来を支えることを、日本の為政者は肝に銘ずるべきだ。

Tanbo_2明日は好天で、遅れていた自然公園の田圃は稲刈り。
田圃で明日の稲刈り準備をしていた松下さんに挨拶すると、「少し持って行きな。」と稲を刈ってくれた。彼は10月3日に母が娘を亡くしたことを知っているので、慰めようとの心遣いだ。松下さんは来年は80歳。とても元気で律儀な人で、真夏の暑い間も黙々と草取りに励んでいた。
松下さんが稲株を刈る間、田圃脇の柳の大木から無数のスズメたちが見物していた。田圃には子供たちが作った案山子が立っているが、スズメたちは平気だ。誰もいなくなると稲に被せた網の間から、実った稲を喜んでついばんでいる。先日、松下さんは網にかかったスズメを助けて逃がした。
「スズメだって、美味しい米を食べたいだろう。」と、本当に心優しい人だ。

帰宅してから、稲は花瓶にさしておいた。よく乾燥したら籾擦りをして、試食してみよう。一株でもお茶碗一杯くらいになりそうだ。

Kiri帰りは、都営桐ヶ丘団地を抜けた。この辺りは田舎道の雰囲気がある。

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