疲れているが、自然や動物たちに触れると元気になる。08年11月30日
大気は冬型に変わり、玄関を出ると、奥秩父から雪に覆われた日光連山まで見渡せた。
早くも渡り鳥のハクセキレイがやって来た。芝生や路上で、ピョンピョンと餌探ししている姿は可愛い。
野生の彼らには、ネットカフェ難民もホームレスも無縁。就職内定の取り消しや、派遣契約の解除通告に悩まされることもない。肉親介護の軋轢や、大恐慌への恐れもない。
人通りのすぐ傍の日溜まりで、けなげに生きているハクセキレイを見ていると、のびやかな気持ちになって、生きる勇気を貰える。
朝、味噌汁をよそった茶碗を落した。破片を片付け、汁をぶちまけた床を雑巾で拭いていると、残った破片で指を切ってしまった。再度、新しい茶碗に味噌汁をよそたら、それはすでにご飯を盛った茶碗で、汁かけご飯にしてしまった。泣きっ面にハチである。散歩に出ても青信号を見落とし、次の青まで信号待ち。集中力が欠けているのは、疲労のせいだろう。
原因は、母のことで仕事中断が多くはかどらないからだ。今日は母の嘔吐や粗相で、朝から3度洗濯をした。幸いにも好天で、冬用のネルの寝間着がすぐに乾いてくれて助かったが、時間を取られるのがつらい。
最近母は、今日は何日かとか、目薬は差したかとか、繰り返し聞く。その都度教えるが、直ぐに忘れる。私の方も、急に走り出すと足がもつれることがある。身は軽い方で、今まで病気でもないかぎり、足がもつれることなど皆無だった。母も私も老いたようだ。
赤羽自然観察公園で顔馴染みの70代半ばの老人が、
「お母さんはいつも元気で良いですね。生きているだけで良いから、長生きして下さい。」と、母に挨拶していた。彼の母親は生きていれば母と同じ年頃らしい。
その後私に「生きている頃は何でもなかったのに、母親に死なれたらとても寂しい。大変でも思い残さないように世話をしたが良い。」と話す。彼は家族に恵まれていて、悩みなど感じないとても元気な明るい人だが、それでも寂しいことがあるようだ。
炊事棟では昨夜からキャンプをしていたボランティアグループが、集まった家族連れや身障者たちにバーベキューを供していた。
昨夜のキャンプは楽しかっただろう。私も母の手がかからなくなったら、キャンプに参加して、公園のススキ野原で月見をしてみたい。本当は天の川が見たいが、東京の空は明るいので無理だ。
日南市大堂津での子供時代は、夜釣りをしながら星空を見上げた。北斗七星に北極星、カシオペア座やオリオン座。絹のベールがたなびいているような天の川を挟む織り姫と彦星。それらの星のことは一緒に夜釣りをしていた大人達が教えてくれた。身内でなくても、昔の子供たちは大人から色々なことを学んでいた。
散歩帰りに生協で買い物をした。
生協前の銀杏並木が色づき、増々素晴らししい。
帰り道、久しぶりに大型犬の小次郎君に会った。小次郎君は事故で片目になり、残った目も緑内障で苦しんでいる。しかし、悩みなど微塵も感じさせない。
彼は遠くから母を認め、尻尾を振って待っていた。母も、彼に触れると笑顔が出た。自然や小鳥やペットたちは、私と母を生き返らせ、元気にしてくれる。
いよいよ明日から師走。頑張ろう。
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