小室哲哉の凋落。アーティストと逆境は常に一対だ。08年11月4日
朝刊夕刊にとTV全番組が小室哲哉転落のニュースばかり。これ程に取り上げられるのは、音楽界の寵児が凋落する様が、アメリカ経済破綻の暗い世相と重なるからかもしれない。
好きなアーティストではないが、彼が刑に服し、立ち直るなら本物だろう。アーティストと逆境は常に一対だ。惜しむらくは、彼が詐欺で取り繕おうとしたことだ。
推測だが、放漫な金銭感覚の彼に、あの詐欺が計画できるとは思えない。大して見返りのない犯罪に側近二人が協力したのも解せない。更に解せないのは、一番難しい投資者を見つけて説得できたことだ。検察は、裏に犯罪に精通した立案者がいたと考えているだろう。
彼は凋落の過程で、闇金に手を出したはずだ。闇金の取り立ては苛烈を極める。気の弱い者だと追いつめられ、銀行強盗か自殺をしてでも金を作ろうとする。そんな心境の債務者に、簡単に大金が稼げる方法をお膳立てされたら乗ってしまう。小室は夜昼なく続く取り立てから解放されたい一心で、詐欺に手を染めたのだろう。だまし取った金は直ぐに闇金へ流れたはずだ。検察はその流れを暴こうとするが、小室たちは喋らないだろう。
かく言う私も、父の債務が闇金へ移譲され、大変厳しい取り立てを受けた経験がある。当時の脅しのせいで、今でも駅のホームで突き飛ばされないように線路際には立たない。私は闇金に半年間抵抗したが、心身共にボロボロになって、母に公安警察に泣きついてもらい解決した。当時は良い時代で、公安は個人の訴えを門前払いせずに真面目に聞いてくれた。更に運が良かったのは、直後にバブルが始まり、闇金業者が大金が稼げる土地ころがしへ興味が移ったことだ。それで、経費ばかりかかって実入りのない父の債務はどうでも良くなったのだろう。
取り立てが収まって間もなく、父は死去し債務は完全に消滅した。
昨日、TBS番組「フェルメールの暗号 〜光の天才画家の作品と生涯の謎を解く〜」を見た。謎については、創作過程の画家心理を無視した憶測で、馬鹿馬鹿し過ぎて殆ど流して見た。
番組では歴史から忘れられたフェルメールをフランス人研究家トレ・ビュルガーが見いだし光を当てた、としていた。しかし、トレはコレクターで画商であり、悲運の天才フェルメールの物語を創作し、利益を得ようとしたのだと、反論する研究者は多い。
実際は、彼には評価された時代がある。その証拠に、名作「真珠の耳飾りの少女」のブルーのターバンを始め、多くの作品に当時高価だったラピスラズリのブルーをふんだんに使っている。しかし、晩年に借金に喘いでいたのも事実だ。困窮して、「真珠の耳飾りの少女」を今の価格7000円ほどで手放している。当時の絵の価格は描かれた人の数で決められていたので、そのように安価になった。今も昔も、アーティストに貧乏と借金はついてまわるようだ。
ラピスラズリのブルーは日本では群青と呼ばれ、今も高価な絵の具だ。以前、仲間の宝石商からアフガニスタン産のラピスラズリの原石を買い、乳鉢で粉末にして絵の具を作った。合成品の鮮やかさはないが、何とも言えない気品があり、機会があったら小品の肖像画にでも使おうと思っている。
昨日の東京北社会保険病院下の公園。すっかり秋色に変わった。駅前で母に赤黒のチェック柄の手袋を買った。母は気に入っているようで、今日も嬉しそうに手袋をして散歩へ出た。
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