正月気分から日常に戻ってホッとしている。09年1月6日
早めに母の散歩に出て、赤羽駅高架下のスーパーで七草セット298円を買った。年末は大混雑だったのに、今日は待ち時間なしでレジが済んだ。個々の家庭にまだ年末の買い置きが残っているのだろう。
去年の七草はフリーズドライのセットを買って失敗した。パッケージには瑞々しい七草の写真があるのに、中身は乾燥大根の葉ばかりで、パサパサしてうま味も香りもない。おまけに生より値段が高かった。
写真上、帰りの緑道公園で日なたボッコしていた大ちゃん。
彼は公園の柵から出て来て、私たちの先をトコトコ歩いていた。母が「大ちゃん。」と声をかけると振り返って「ニャン。」と返事した。先日は飼い主が呼んでも無視していたのに、気ままな子だ。桜の根元の日溜まりにヨッコラショと一休みしたので写真を撮った。そのうち、私たちが煩わしくなったのか、柵の向こうへ消えて行った。
彼の名前を知ったのは先日のことだ。
「大ちゃん。ご飯ですよ。」と、飼い主が呼んでいたが、日なたボッコ中の彼は知らん顔。飼い主は仕方なく、彼の口元まで餌を持って行って食べさせていた。
大ちゃんは毎日、日溜まりで居眠りして、鳩を狙って、好きな時に食事をして、テリトリーを巡回して、世間の景気など気にも留めず、気ままに過ごしている。そんな自由な姿は、眺めているだけでのんびりする。
写真下、大ちゃんに会った後の母。
足元の歩道の模様は鉄道レールを模したもの。昔は赤羽自然観察公園あたりに広大な日本陸軍工廠があり専用鉄道が赤羽駅から分岐して伸びていた。緑道公園は線路を撤去した跡に作られた。
11時に帰宅して母をベットに寝せ、12時予約の上野歯科医院へ飛び出した。
予約に遅刻せずに着いたが、8日と今日を勘違いしていた。患者が空いていれば治療してもらえるが、あいにく休み明けで患者は大混雑。仕方なく諦めて引き返した。
帰り道、知人に会ったが、私だと気づかなかった。
母の車椅子を押していないと、誰も私だと気づかない。いつもにこやかな郵便局のガードマンのおじさんも、厳しい視線を崩さない。母の車椅子を押していると世間は笑顔に満ちて見えるが、一人になると、突然に厳しい顔に変わる。
愛犬家も私に似ている。愛犬を散歩させていると、ペット好きがワンコのついでに飼い主に声をかけてくれる。しかし、一人だと誰も気づいてくれない。もし、愛犬を失うことになれば、ペットロスに孤独感が重なり、辛さは倍加する。
正月気分が遠ざかってホツとしている。
年末年始は一人者にとって厭な時期だ。いつもは付き合いの良い友人たちも、この期間だけは家庭サービスに励む。中には気を使って「遊びにこいよ。」と、招いてくれる友人がいるが、ウカウカ出かけるとひどい目に会う。私の年代になると大抵孫がいて、正月には家族揃って遊びに来ている。友がメロメロになって孫を可愛がる姿は日頃の姿から想像もできない。結局は気疲れして、夜の車窓に映る暗い自分を眺めながら帰ることになる。
独り身はトレンドだ、と粋がる向きがいるが、そうは思わない。
私はやりたい事への情熱と、それに伴う収入減と、親の世話を秤にかけ、結婚を迫る女たちを追い払い独り身を選んだ。選んだ道に後悔はないが、老いを重ねるにつれ寂しさが募る。仮に絵描きで成功したとしても、その喜びは家庭の温もりに及ばない。
しかし、誤解しないで欲しい。心底辛い時は、「寂しさが募る。」などと軽く言えない。この軽口には、運命の荒馬を乗りこなしている達成感が加味されている。
以前、仕事がらみで独り身男性たちにインタビューした時、彼らの多くも、行く末の寂しさを口にしながら、潔く受け入れる、と語っていた。
それを独り身の女性に話すと、「男たちは情けない。女の独り者は元気一杯よ。」と明るく励ましてくれた。しかし、感覚に微妙なずれがあり、どうしても会話は交わらない。どうやら、男の美学は女性には理解し難いヘンテコなもののようだ。
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