春間近。09年2月24日
散歩から帰宅すると電話。慌てて受話器を取ると、無言のまま切れた。そのような電話が月に1度くらいある。以前は嫌がらせと思っていたが、最近はオレオレ詐欺だと思っている。彼らも効率を考えているので、私が出れば一瞬で無駄だと判断して切るのだろう。
今まで、詐欺にはかかったことはないが、昔一度だけ、寸借詐欺と分かっていながら金を出した。
相手は関西の広告代理店社員で、私と組んで大きな仕事をした。仕事は真面目だったが、私生活は酒に女に賭けごとと、かなり荒れていた。
仕事が無事に終わってから数日後の朝、その彼から電話があった。
「今、東京駅にいるが、財布を落してしまった。帰ったら直ぐに返すからホテル代と帰りの電車代として3万貸してもらえないか。」
彼の広告代理店子会社は東京にもある。そちらではなく、私に頼むのは怪しいが、心良く金を持って行った。
「お金は返す必要はありません。その代わり、仕事の代金が至急支払われるように手配していただきたい。」と頼むと、彼は快諾した。
そんなことを頼んだのは、その広告代理店は支払いが厳しいとの噂があり、二百万ほどの代金が遅れるのが心配だったからだ。その月末、彼の尽力があったかどうか分からないが、代金は異例に早く振り込まれた。
夕食後、ベットの母がブザーで呼んだ。
母はテレビのリモコンが効かないと、電話子機のボタンを繰り返し押している。
「手に持っているのは何。テレビに電話かけてるの。」
と、こみ上げる笑いをこらえながら言ったが、
「これ、リモコンでしょ。」と、色も形もまったく違うのに母は気づかない。
そんな母は放っておいて、私は台所に戻った。
散歩帰りにブリのアラを買ったので、大根を茹で、アラは霜降りにして、煮込む準備をした。
再度、ブザーが鳴ったので行ってみると、
「どうして電話機だと教えてくれないの。バカみたい。」
母は笑いをかみ殺しながら文句を言った。
「バカみたい、じゃなくて、バカそのものだよ。」
私は、そう言って台所へ戻った。
ブリ大根は久しぶりだ。本式のレシピは面倒なので、適当に手抜きして作る。
しかし、最近の母は甘辛煮を口にすると吐き気を催す。その時は、一人で食べることにする。
昨日のNHK「鶴瓶の家族に乾杯」は八戸市だった。
太平洋側にあるこの辺りは、冬は好天の日が多く、寒さは厳しいが、明るい風景が記憶に残っている。TV画面にも明るい雪景色が広がっていた。
市場でゲストの前田吟と鶴瓶が食事していると、市場のおばちゃんたちが「これ食べろ。」「あれ食べろ。」と、新鮮なヒラメやイカやホッキ貝の刺身などを次々と持って来た。
この光景はとても懐かしい。
40年前の青森旅行の時、列車で知り合った青森の人とホームのうどんを食べに行くと、
「これ食べろ。もっと食べろ。」と天ぷらや、いなり寿司を次々と薦めてくれた。
青森旅行をしたのは、太宰治の紀行文「津軽」の影響だ。その中で、遠来の客を次々ともてなすシーンがあったが、私も駅のホームで、太宰の世界の一端を味わえ、とても嬉しかった。
番組に出ていた市場のおばちゃんたちは70前後だ。彼女たちには、まだ、あの気風が健在のようだ。
昨日の、雨の赤羽自然観察公園。
冷たい雨で公園は閑散としていたが、こんな日に公園の良さを味わうことができる。
写真では分かりにくいが、柳の新芽が萌え出て、緑色を淡く刷毛ではいたように見えた。
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