恵まれた主人公のドラマは面白くない。09年2月28日
母をベットに就かせてから絵を描いた。傍らのテレビでは、NHKドラマスペシャル白洲次郎をやっている。英語のシーンが多く、字幕を読む都度筆が止まった。
40年前、彼の名を若者向け週刊誌で始めて知った。白TシャツGパン姿の長身中年男性のグラビアで、敗戦直後の貧弱な日本人とは思えなかった。説明では、マッカーサーを叱りつけた反骨の士、日本人が粗末な復員服で雑炊を啜っていた時代に、今の若者と変わらないファッションセンスがあった、と讃えていた。
彼には、昭和天皇からの贈り物をぞんざいに扱ったマッカーサーを叱りつけた逸話がある。しかし、白州が贈り物を持って来訪した記録はなく、当時のマッカーサー副官の証言では、最高権力者マッカーサーと直接会える日本人は極めて少数で、その真偽は判然としない。ただ、そんな逸話が語られてもおかしくない反骨の人だったのだろう。
ドラマでは、大金持ちの御曹司で頭が良く、日本人離れした体格で喧嘩が強く、英語が堪能でケンブリッジ留学経験があり、交友関係はどこまでもノーブルで、少年時代から女にもてて、恋女房は貴族の娘で、終生、何度失敗しても周囲が放っておかず、さほど苦労せずに引き立ててもらえる、とんでもなく恵まれた人生で、感情移入するにはかけ離れ過ぎる人だった。
樺山伯爵令嬢の妻正子と英語で愛を語るシーンは、ちょっと恥ずかしかった。事実とすれば、このような植民地的情景は日本が近代化する過程に咲いたあだ花で、誇るべき逸話ではない。その白州夫人は後年、随筆家として名を成し、中年女性憧れのカリスマとしてもてはやされた。
どん底に落ちた主人公が、苦難を乗り越え這い上がってこそ魅力あるドラマになるのに、女性週刊誌が飛びつきそうな良家の格好いい主人公夫婦をドラマにするのは難しい。
しかし、初回だけの父白州は新鮮で魅力があった。破天荒で、度胸があって、一代で巨万の富を築いて破産する。次郎より、この父親のドラマの方がずっと面白い。
昨日午後、みぞれが降る中、上野歯科医院へ行った。
先日の親知らずの歯茎の痛みは完全に治っているが、その場所は歯ブラシが上手く入らず、歯石が着きやすい。
「親知らずを抜くのも選択肢の一つですが、今回は温存する方向で治療してみましょう。」
院長は歯肉に麻酔し、親知らず歯根に固着した古い歯石の掃除を始めた。今までのクリーニングは歯科衛生士がやっていたが、親知らずに関しては中途半端だった。その点、院長の仕事は的確で思い切りが良く、綺麗になって行く実感があった。クリーニングは30分ほどかかったが、治療費は460円と安かった。
歯科医院帰りに、アピレ地下食品市場でソーセージを買った。以前行った時は、赤羽駅高架下のアルガードに客を取られて閑散としていたが、営業努力が功を奏し賑わっていた。
帰宅する頃、麻酔が取れて歯茎に猛烈な痛みが来た。今回は抗生物質は処方されていない。もし、感染が起きて土曜朝に痛みが治まっていなかったら歯科医院へ行くことにした。
しかし、今朝には痛みは消え、快適に食事ができた。
今日の散歩は、6日ぶりに雨が止み、薄日でも暖かかった。
寒い日が続いたのに緑道公園のコブシは開花寸前だ。彼らは気温ではなく、体内時計で春を感じているようだ。
このブログを書きながらガスコンロで雑穀ご飯を炊いていたが、タイマーのベルを聞き逃し、慌てて火を止めた。若干焦げたが上手く炊きあがっていた。容器に移しながら少し食べてみると実に美味い。この美味しい米を全国民が1食だけパン等と入れ替えるだけで自給率が8%向上するらしい。そう言えば、我が家は2年近くパンを食べていない。
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