病院受付での偏屈な年寄り。09年3月31日
散歩の途中、毎日のように東京北社会保険病院へ寄り道している。母の診察ではなく、母に車椅子用トイレを使わせたり、屋上庭園を散歩したり、庭の野生のスミレを眺めたりしている。
診察は月一回の眼科だけ。母の緑内障は安定しているので、診察はいつもすぐに終わる。
先週、眼科へ連れていった。
受付に診察券を出して待っていると、70代のおばあさんがシルバーカーを押してやって来た。シルバーカーとは椅子兼用の手押し車のこと。おばあさんは赤ら顔で、でっぷりと太り息が苦しそうだ。様子では血管系の病気で内科へ来たのだろう。
「さっさと、すましなさいよ。」
おばあさんが突然、私たちに文句を言った。そう言われても、事務手続きばかりは待つ他はない。
「こちらなら、すぐに提出できますよ。」
手が届く距離の、誰も並んでいない隣の受付をおばあさんに教えた。
「余計なお世話だ。あんたは元気だからそんなことが言える。息が苦しい病人の身で、後ろにならんでいる私のことを考えなさい。」
おばあさんは、顔を真っ赤にしてまくしたてた。
「手を伸ばせば、すぐ済みますよ。」
聞こえなかったと思い言い直したが、おばあさんは更に悪口雑言をまくしたてた。それくらいの元気があるなら、親切に教える必要はなかったようだ。
「よほど、こちらの受付が好きみたいだな。」
母にぼやいていると、経緯を眺めていた受付係は、俯いて笑いを我慢していた。
私たちの手続きはすぐにすみ、眼科へ行った。
「あの性格では、一緒に暮らしている家族は苦労するね。」
待合室で母が言った。家族がいれば、そんな偏屈な性格にはならない。多分、一人暮らしなのだろう。性格が良いか悪いかで、老後の快適さはかなり変わる。穏やかな年寄りには進んで親切にしたくなるが、偏屈だと、どうでもよくなってしまう。
文句を言ったおばあさんは、私たちに意地悪されたと思っているかもしれない。
都会の不親切さを嘆く人は多いが、私の経験では東京は親切な人が多い。それも、見返りを求めない、本当に優しい人だ。それは毎日の散歩でいつも感じている。
今、赤羽の桜は3分咲き。私は満開よりこのくらいの咲き加減が好きだ。莟の紅色と、開花した白い花弁の混ざり具合が清々しい。
写真1。
桐ヶ丘都営団地の桜。緑道公園の陸橋から満開の桜が見えたので、帰り回り道をした。
島のように見える石垣の構図がとても良い。
写真2。
赤羽自然観察公園近くの福祉工房の生け垣。樹木名-レッドロビン。アメリカで作られたカナメモチとオオカナメモチの交雑種。真っ赤で花のように見えるが、若い葉である。
写真3。
赤羽自然観察公園の古民家と田圃。田圃に水が張られ、春らしくなった。
田舎の田圃では、水を張るとカエルが卵を生み、沢山のオタマジャクシがふ化していた。自然公園でも4,5年前までは春になるとヒキガエルが卵を産んでいたが、いつの間にかいなくなった。
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