日銀短観は史上最悪だったが、心配するほどではない。09年4月2日
日銀短観では史上最悪の景気だった、とニュースで騒いでいた。しかし、ニュースを聞いて驚いた人は少数だ。ほとんどの人は肌で感じていることで、「やっぱり。」と納得したはずだ。現に株価は、日銀短観はおり込みずみで、昨日今日と続伸した。私は夏には1万台に戻していると予測している。
一部で心配されているのは去年の資源高騰時、高値買いした大量の原材料。今後、製造業業績を圧迫し、更なる景気悪化を予測している。これも心配することはない。中国内陸部のインフラ整備が過熱している今、すぐに資源高騰が起きて損失は縮小する。
相変わらず、経済アナリストたちの悲観的な予測が横行している。彼らは経済を数式的に捉え過ぎる。実際の経済は極めてメンタルなもので、WBCで日本が優勝しただけで500億以上の景気刺激になった。景気は世間の心が萎縮すれば予測以上に落ち込み、高揚すれば思いのほか良くなる。経済学は社会心理学と殆ど重なる。数式一本の専門家の予測は外れるものだ、と思っている。
とは言え、去年暮れからのアメリカの消費落ち込みの早さは衝撃だった。元々、不要なものを借金して買っていたのだから当然の結果だが、こう急激では影響が大き過ぎる。
しかし、革新的な製品が出れば今の事態は逆転する。
それは、テレビにおけるブラウン管から液晶への変化程度ではだめで、もっと劇的でエコにも繋がるもの、たとえば、高性能の太陽電池とか電気自動車がその最右翼だ。
昨夜、テレビ東京のWBSでアメリカのITで儲けた企業家が作った電気自動車のベンチャーを取材していた。一千万とまだ高価だがかなり売れていた。高価格なのは電池が高価過ぎるからだ。このベンチャーの電気自動車はパソコン用の日本製リチウム電池を3千個以上使っていて、それが高価格の原因になっていた。
今、リチウム電池の高性能化は急速に進んでいる。リチウムは希少金属だが、自動車用は販売店を通じて回収されるのでリサイクルは容易だ。将来は海水中の無尽蔵のリチウムも利用される。更に、燃料電池の低価格化も近い。
景気対策のために開発は前倒しされ、意外に早く低価格の電気自動車が登場しそうだ。
以前、電気自動車と欧州有名スポーツカーとの競争を見たが、電気自動車が加速でも乗り心地でも圧勝した。これほどの魅力ある新製品は他にない。もし、低価格車が登場すればあっという間にエンジン車を駆逐するだろう。そうなれば、エンジン車は機械式時計や銀塩フイルムカメラのようにマニアックなものに変わってしまう。
電気自動車は、電池とモーターの異業種の参入が容易で世界の業界図も激変する。課題は、エンジン自動車は部品3万点に対し電気自動車は1万点と3分の1に減ることだ。当然、自動車に関わる製造業の3分の2は転職廃業に追い込まれる。それらの製造業を吸収する新たな産業を興さないと、新たな不安要因になってしまう。
写真1。スズメが落した桜。
早く満開した桜の下で、花がクルクルと舞い落ちて来たので、見上げると楽しそうに花を落していた。
スズメたちは花の子房をついばんで、蜜と胚乳を食べている。
試しに1輪摘んで食べてみると、ほの甘くて桜の香りがして美味かった。
写真2。
新河岸川上流の桜。
北風が猛烈に吹き付けて寒い。
しかし、川面のきらめきは春の光だ。
眺めていると、郷里日向灘のきらめきを思い出した。
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