ジューンベリーと桑の実。09年5月26日
上。緑道公園の熟し始めたジューンベリー。濃赤紫の実が食べごろ。甘く香り高い。
ジューンベリーは材質が脆く、無理に引き寄せると簡単に折れたり裂けたりする。
今は回復しているが、一昨年、この木は実をもぎに来た心ない人に無数の小枝を折られ裸同然になった。
中。赤羽自然観察公園のガクアジサイ。白い花は清楚で趣がある。同じ白い花は東京北社会保険病院下の公園にも咲いている。
赤羽自然観察公園で、熟した桑の実を熟年夫婦が摘んでいた。
「それは山桑で酸味が強いですよ。
入り口の自転車置き場回りの桑なら、大粒で甘くて、とても美味しいです。」
教えたが、夫婦は素っ気ない反応。
「熟していないのを食ったから、酸っぱかったのだ。」
夫は不機嫌に言った。どうやら、妻の前でバカにされたと思ったようだ。私は反論せずにその場を離れた。
下。駐輪場近くの美味しい方の桑。黒っぽく熟した実はとても甘い。これは栽培種。山桑の葉は切れ込みが深く、実も葉も小さい。
自然公園の常連は穏やかな人が多い。
しかし、たまに訪れる人の中には、世間の刺々しさをそのまま持ち込む人がいる。彼らは自然公園では異星人のように見える。もし、自然公園に長く通ってくれたら、穏やかに変わるのだが、そのタイプは二度と来ない。
私は右足踵に弱点があり、最近、散歩から帰ると痛むようになった。
踵の痛みには、踵の骨の変形が原因の足底腱膜炎がある。私の場合は、それと若干症状が違っていて、踵の前部分を押しても痛みはなく、踵に体重をかけた時に軽く痛む。今は経皮吸収型鎮痛消炎剤フェルビナクを丹念に塗るだけで痛みは治まる。
踵を痛めたのは、10年前、今の住まいに引っ越した54歳の時だ。
旧居はここから南東2キロ。業者は姉の知人の身内で、引っ越し費用は姉が負担した。
業者は究竟な若者二人を連れて来た。荷物は軽々とトラックに積まれ、簡単に作業は終わると喜んだ。しかし、それはぬか喜びで、作業開始から2時間ほど経過した頃、業者とアシスタントの若者二人はバテてて木陰に座り込んでしまった。
仕方なく、後は姉と私で荷物運びとトラック積み込みを続けた。
夕暮れまで10時間ほど、姉と私は休みなく作業を続けたが、結局、旧居に半分程の荷物を残してしまった。その間、業者と若者二人は殆ど仕事をしなかった。若者二人は共に身長180センチを越す頑強なスポーツマンタイプだ。しかし、あきれる程に持久力がなかった。
私と同年齢の65歳の友人は、毎年、若者を連れて富士登山をする。その若者の殆どがすぐにバテると友人はこぼす。これは、子供時代に作られる基礎体力の差で、今の軟弱な教育のせいだ。
私は残された荷物20〜60キロを背負子で担ぎ、2キロの道を10回以上往復して運んだ。それを2週間近く続け、やっと引っ越しは終わった。
それから数ヶ月して、踵が激しく痛み始めた。薄い靴底の運動靴をはいて、重荷を背負ったのが原因だった。すぐに厚いタイプに履き替えると、半年程で完治した。しかし、今も踵にダメージが残っている。
あちこちが痛むのは老いの初期症状だ。
母は70歳を過ぎた辺りから、両膝の変形性膝関節症の激痛に苦しんだ。
ジョイント付きの膝サポーター、擦り下ろした彼岸花球根の湿布、針灸、整形外科治療。思いつくかぎりの方法を試したが、一向に改善しなかった。
母が80歳で辿り着いたのが両膝の人工膝関節入れ替え手術。板橋の老人センターの執刀医は母を最後に退官し、自分の整形外科医院を開院する予定だった。手術は医師が自画自賛するほど上手く行き、以来、母は膝の激痛から解放された。
しかし、すぐに圧迫骨折による腰椎に悩まされ、89歳で車椅子生活になった。その腰痛もペインクリニックで軽減し、今は治療無しでも痛みは起きない。
激痛から解放されたが、代わって疲労感、息苦しさが母を悩ませている。痛みは、身体が若く勢いがある時の苦しみなのかもしれない。私もこれから様々な痛みに悩まされ、解放される頃に一生が終わるのだろう。
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