植物の予知能力。09年6月5日
デザイン会社にラフ提出が終わり、少し横になった。しかし、疲れが抜けない。どこか悪い所があるのでは、といつもの癖が始まる。多分、仕事のストレスだろう。自分の作品ならストレスはないが、発注元へ気を使う仕事は疲れる。
左下奥歯歯茎から顔を出していたのは、白くて堅く歯に間違いない。64歳で歯が生えるとは驚いたが、調べてみると珍しくない。歯の数が親知らずを含めて28〜32本は、あくまで平均で、それより多い人も少ない人もいる。私のは埋没していた過剰歯が、何かのきっかけで顔を出したものだ。来週、歯科医で処置してもらう予定。
「睡眠薬飲んだかしら。」
ビデオの予約をしていたら、隣室で寝ていた母が声をかけた。
「10時過ぎだよ。飲ませずに放っておく訳がないだろう。」
強く言うと、
「ごめんね。信用しているんだけど、飲んだか飲まないか分からなくて、つい聞いちゃった。」
母は謝った。
仕事に戻ると、すぐにブザーが鳴ったので急いで行った。
「私のメガネ、何処へ行ったかしら。」
母は半身を起こして、探している。メガネが必要なのではなく、そこらに置いたまま壊すのを心配してのことだ。傍らの箱の中のメガネを示すと、母は安堵して横になった。
「そんなことは気にせず、早く寝な。」
と言うと、母は眠れないとぼやいた。
仕事に戻ると、ふいに、赤羽自然観察公園で会った女性が話していたことが頭を過った。
「私も10年前に母親の介護をしていました。
心身共に疲れはて、逝ってくれた時は正直ほっとしました。
でも、その後が辛かった。心にぽっかり穴が空いて、今も寂しさが埋まりません。
大変でも、親は生きていてくれるだけで有り難いです。」
その意味はとてもよく分かる。しかし、母は間違いなく、そう遠くない時期に逝ってしまう。むしろ、年の順に命が終わるのは幸せなこと。生きるとは、辛いことも楽しいことも、まとめて背負って行くことなのかもしれない。
散歩帰り、赤羽台団地のビワを3個もいだ。食べてみると、去年より香り高く美味しい。
団地は再来年には取り壊され、そのビワも撤去される。ビワは命の終わりを感じて、子孫を残そうと美味しい実をつけたのだろう。
今年始め、近所のTさん宅生け垣のトウネズミモチが枯れた。
枯れてから間もなく、生け垣の世話をしていたTさんが脳梗塞で倒れ、介護病院に入院した。
団地のビワも、トウネズミモチも予知能力があるようだ。トウネズミモチは世話をしてくれる人がいなくなると思って、自ら枯れたのだろう。
Tさんが病院から自宅へ帰ることはない。先日、Tさん宅を通ると、息子夫婦に代替わりした家の生け垣は取り払われ、ブロック塀に代わっていた。
話題にはならないが、太陽黒点が17世紀以来、異常に減少している。減少は太陽活動の衰えを示し、小氷河期が到来するかもしれない、と朝日に小さな記事があった。これには諸説あって、正しく予測出来る学者はいない。今年は暖冬だったが、今のところ夏は猛暑にならない気がする。これで、温暖化の勢いが弱まればありがたい。
緑道公園のネコ。
同じく、桜広場の母。
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