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2009年7月20日 (月)

NHKスペシャル「マネー資本主義」、偽装されモラルが欠落した金融工学。09年7月20日

金融工学とは、洗練され安全で高利回りの金融商品を生むツールとして、テリー・デュホンなどによって考え出された方法のようだ。では、いかにして安全に洗練された金融商品に見せたのか。それは、原子物理学、生物学、数学、ゲーム理論、などの優秀な学者の大量起用だった。

自然には、人やものや金の動きと酷似した現象がある。従来、物、金、人の動きは複雑過ぎて予測は難しいと考えられていたが、一部の経済学者はゲーム理論に自然現象をあてはめれば予測できると考えた。そうやって金融工学は、ほとんどリスクのない高利回りの金融商品を産み出し、投資家たちは高配当を得た。

しかし、大きな見落としがあった。一定の原理に従って動く自然現象と、人の動きは似ていても別物だ。それらの誤差をゲーム理論で補正したとしても、意思を持った一人一人が予測を越えた間違いを犯せば、補正は追いつかない。そのような未完成な理論によって生まれた金融工学は危険なツールだった。

--ゲーム理論とは複雑な社会の動向を解明し予測する理論だ。但し、小規模で単純な社会においてのみ予測可能で、世界規模では予測不能だ。将来、驚異的スーパーコンピューターが登場し、それに正確で膨大なデータを入力して始めて可能になる。

とは言え、金融工学は社会に散らばった資金を集めるのに大変効率よい方法だった。しかし、それは両刃の刃で、グリーンスパンFRB議長の自由放任金融政策のもと、サブプライムローンを内包した金融商品が生まれ、マネーゲームは肥大化した末に自己崩壊した。

金融工学で集められた膨大な資金は有用な生産へ向かわなかった。その部分だけ見るとねずみ講と酷似している。両者の違いは、ねずみ講は妖し気な詐欺師集団が発案したのに対し、金融工学はノーベル賞クラスの学者のお墨付きがあったことだ。そのような商品の実体を投資家が見破るのは大変難しく、結果、大不況を招いた。

もし、資金が人類を幸せにする方向に投資されていたなら、今回ほどの危機は生まれなかった。モラルないものが金融工学を操れば社会は危うくなる。残念ながら、関係する学者や投資家にモラルはなかった。経済専門家によると経済学にモラルは不要らしい。彼らは極めて楽観的な性善説に基づき、モラルに外れていたら損失と言う制裁を受ける、としている。しかし、現実ではモラルないものが勝ち逃げし、真面目なものが損失を被るケースが多い。
木賃アパートから3DKへの変化は生活の向上だが、3DKから10LDKへの変化は虚飾に過ぎない。今回の土地、石油、食料、鉱物資源への投機も、一般に犠牲を強いただけだ。

番組を見終えて、日本人として誇りに思ったのは、金融工学に日本人学者が加担しなかったことだ。多くの日本人には額に汗して働く思想が健在だ。虚飾と強欲が悲惨な結果を招くことを、日本人はバブルで学んでいる。

残念なのは金融工学の権威や投資家たちが、今回の危機を一時的な失敗と見て、まったく反省していないことだ。次は災害やテロのリスクまで商品化し、悪どく儲けようとしている。金融商品の儲けを最終的に一般大衆が支払っている現実を彼らは無視している。これでは、豊かな者が更に豊かに、貧しい者が更に貧しく、2極構造は進行して行くばかりだ。

Youge_3

外装工事の足場が消えて、毎日すっきりとした風景を眺めている。

今年も霧吹きで暑い散歩をしのいでいる。汗をかく部分を十分に湿しておくのがこつだ。年を取ると足の発汗が激減するので、ズボンと靴も湿しておく。それだけで、私も母も猛暑の散歩が続けられる。

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