立ち止まれば秋。09年8月14日
住まい玄関前からの夕景色。手前は新幹線と埼京線。遠く荒川を経て川口方面を遠望。
音は下から上へは伝わりやすい。夜、テレビを止めると、地上の草むらの虫の声が聞こえた。秋はすぐそばまで近づいている。夜風が冷たいので、ベットの母に厚めのタオルケットをかけた。
東北は梅雨が明けないままに秋になりそうだ。このまま米が不作になっても、備蓄量は十分だと担当役人が話していた。総選挙の各党のマニフェストでFTA自由貿易協定にふれていた。工業製品自由化と引き換えに農産物を自由化すれば自給率は更に激減する。第二次大戦後、アメリカは世界各地に自国農産物を安く売りつけ、その国の農業を荒廃させてきた。近い将来、食料危機が起きれば、アメリカは自国民優先で日本を助けたりしない。現に大豆不作の時、アメリカは日本を見捨てた。そんな国に国民の生命を預けるのは危険過ぎる。
日中の半分、母はベットで過ごすようになった。1時間も寝ていると身体が萎え、歩くとふらつくようだ。対策として、ベットで30分寝たら30分椅子で過ごすようにさせた。それで、ふらつきはかなり改善できた。
我々でも1日寝ていると、足元がフワフワして身体がふらつく。高齢ではもっと短時間に筋力の衰えが進行する。寝たっきり防止に、こまめに起こして椅子に座らせることを薦める。
大原麗子に山城新伍と役者さんの訃報が続く。
美人女優の老後は世間から身を隠す事が多く、孤独死に陥りやすい。大原麗子は老後ではないが、難病のキンバレー症候群を病んでいた孤独な最期は本当に気の毒だった。
対して、老人施設で死んだ山城新伍の最期は悲惨ではない。むしろ、施設に入所するまでの孤独な生活が悲惨だった。生前の映像で、壁に向かって数分間一人言を喋っていた、と彼自身が話していた。
糖尿を悪化させた原因は、独り身のいい加減な食生活にあった。入所後、彼は明るく元気になったと関係者が話していた。施設では糖尿病食を提供し規則正しく運動させるるので、独身男性患者は著しく改善するケースが多い。
役者時代の仲間は訪ねず、寂しい晩年だった、と言う者がいるが、それは違う。老人施設は若者が多いにぎやかな職場で、彼は孤独感から解放されていたはずだ。そんな所に、昔の仲間が訪ねて来て的外れな同情をしても嬉しくはない。それで彼は拒否していたのだろう。
独り身で重い糖尿だったKさんも山城新伍に似ていた。Kさんは三食を菓子パンで済ますようなひどい食生活を続け、心臓や下肢の重い合併症が起きていた。最後に赤羽自然観察公園で会ったころ、「鉄板のズボンを履いているみたいに足が重い。」と嘆いていた。
1年後、東京北社会保険病院の屋上庭園で車椅子の彼に偶然再会した。彼は病院併設の介護施設に入所していると嬉しそうに話した。以前、赤黒かった肌は健康色に変わり、とても元気に見えた。
「本当は歩けるんだけど、歩けないことにして入所している。」
別れ際、Kさんは小声で耳打ちした。
山城新伍もKさんのように老人施設に入所して安堵した、と思っている。
山城新伍の最期は、弟と雑談していて急に静かになり、眠るように逝った。実娘と会えない寂しさはあったが、孤独は覚悟の上だった。彼のような粘らない死は羨ましい。
我が家で死んだ父は生命維持装置なしで、意識がないまま10日間生きていた。私も心臓が強いので、最期は孤独に頑張りそうな気がする。この頑張りは辛い。
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