最近、徹夜仕事がこたえる。09年8月5日
日本生命倫理学会の学会誌表紙を徹夜で描いた。一貫して、空に浮かぶ巨大な卵をメインテーマにしている。毎回、卵周りの雲と地上風景に工夫を凝らしているが、今回はなかなかまとまらず、悩んでいる内に締め切りが来てしまった。
合間に母の世話があるので、徹夜仕事はこたえる。描きながら何度か一瞬眠ってしまった。それでも強引にお昼までに描き上げ、午後2時に家を出た。文京区向丘の事務局へは地下鉄南北線を利用する。徹夜の後に炎天下を歩くのは辛いが、南北線赤羽岩淵まで3キロを歩いた。
地下鉄は空いていた。冷房もよく効いていて、座ると直ぐに気持ち良く眠った。
東大前で下車。本郷通りを駒込方面に引き返すように5分ほど行くと、事務局のある浄心寺に着く。この寺は入り口の巨大なコンクリート作りの布袋様で有名だ。入り口脇にある虚空蔵菩薩のお堂が事務局になっている。いつもなら表紙絵のギャラはすぐに支払ってもらえるが、今日は担当が休んでいた。ガックリきたが仕方がない。安置されている巨大な虚空蔵菩薩に手を合わせ、すぐに辞した。
先日の電通の仕事の入金は8月末だ。それまで生活費がもたないので、このギャラをあてにしていた。しかし、あちこち散らばっているお金を集めたら何とかなりそうだ。絵描きに転身してから、そのように、お金のやり繰りばかりしている。絵描きで一番大変なのは生活費の工面だ。
先日の発表では、日本国民の収入は7%減だった。この数字は絵描きには厳しい。食品などの必需品は収入7%減でも無理して買う。しかし、絵は無理をしてまで絶対に買わない。次の策を考えている内に地下鉄は赤羽岩淵に着いた。
クタクタになって帰宅すると母が粗相していた。休む間もなく洗濯と掃除。最近の母は仕事が忙しいと決まって問題を起こす。もっとも、問題が一つなら悩むが、今日のように三つも四つも重なると、開き直ってどうでも良くなる。
洗濯物を干し、シャワーを浴びて横になった。
寝入るとすぐに母のブザーに起こされた。別段用事はなく、テレビのリモコンの使い方とか、「今日は何日。」とか、他愛の無いことばかり。すぐに眠りたいので、パソコンのiTunesが選んだトップ25曲を聞いた。これは昼寝の時の習慣で、睡眠導入剤より効く。最初の曲は「アメージング・グレース」。始まり30秒で気持ちよく眠りに陥り、残り曲は夢の中で聞いた。
「アメージング・グレース」は人生をリセットする力がある。
43歳で彫金職人から絵描きに転向した時、ウオークマンで「アメージング・グレース」を聞きながら、毎日のように荒川土手を散歩した。ひたすら神を讃える歌詞で、励ましの言葉などはない。しかし、聞いていると肩の力が抜け、困難に立ち向かう力が湧き出て来る。以来、疲れている時の定番曲になった。
昨日の赤羽自然観察公園の古民家。
疲れていると、無性にここで昼寝をしたくなる。
風通しの良い座敷で、煤けた天井板を眺めていると、何とも言えず幸せになる。
赤羽自然観察公園ではエノキの実が熟し始めた。
大きさは干し大豆ほど。
種の周りの薄い果肉は羊羹のような食感で、独特の甘い香りがする。
オレンジ色では未熟で渋みがある。
茶色に完熟すると、果皮は柔らかく果肉はとても甘い。
エノキを好む虫が発生したようで、今年の葉は虫食いだらけだ。
しかし、虫はどこにも見当たらない。公園に多い小鳥達が食べてしまったのかもしれない。自然のバランスは素晴らしい。
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