子供の頃のような月の光を眺めてみたい。9月25日
今日は日射しが強く、夏に戻ったようだった。赤羽自然観察公園の椎の木の下で休むと涼風が吹き抜けて実に心地良かった。
「いい気持ち。」と、母はウトウトし始めた。その間に私は椎の実を拾った。
傍らを小柄なおばあさんが通った。
「ギンナンを拾ってる。こんなに臭いもの、よく拾えるわね。」
おばあさんは連れの大柄なおじいさんに言った。イチョウと椎は見かけがかなり違う。彼女は目も鼻も悪いようだ。
「これ、ドングリじゃないか。」
連れのおじいさんはかがんで椎の実を拾って言った。おばあさんはそれを無視して、おじいさんを置き去りにして、さっさと行ってしまった。短時間に、おじいさんの辛い老後が見えたような気がした。
東京では椎の実が食べられることを知っている人は極めて少ない。だから、毎年、拾い放題だ。今日も、10分ほどで3合ほど拾った。
椎の実は軽く洗ってギンナン煎り器で煎る。30年前、カッパ橋で買ったステンレス製業務用で4千円ほどした。作りは頑丈で、今もまったく痛みがない。ツバメマークにKANKUMAプリントされたシールが貼ってある。調べてみたが製造元は分からない。昔は、そのような道具を作る小さな町工場が赤羽周辺にも沢山あった。もしかすると、それらの一つかもしれない。
今年の椎は実入りが良く、まったく虫食いがない。虫食いがあると、殻に小さな穴が空いているので、いくら煎っても弾けず、そのまま焦げてしまう。写真のように弾けた実は総て美味しい。今朝、ご飯を炊き忘れたので、お昼の私のご飯が足りなかった。それで、椎の実と鬼グルミで補った。何だか、縄文人に戻ったように野性的で、良い気分になった。
9月27日に赤羽自然観察公園の古民家で月見団子作りの体験会がある。次の満月は10月4日。月見もさせてくれるかと思ったが、子供対象なのでそれはないようだ。
今は夜になっても町が明るく、月の光を殆ど体験出来なくなった。昭和20年代、私が子供の頃は街灯が殆どなく、満月の夜は影踏みをして遊んだ。物陰の漆黒の闇から魔物が出そうで怖かったが、月光に白く照らされた広場を今も夢のように思い出す。今の子供たちに、この美しさを味合わせてあげたい。今、赤羽自然観察公園はススキが真っ盛りだ。ススキの間で月見をさせたら、子供たちはさぞや喜ぶだろう。
今回の民主新政権は想像以上に新鮮だった。
鳩山首相の国連演説は知的で建設的で国際的に評価されて当然と思った。しかし、原稿の棒読みで感情表現が乏しい、と批判する元外務官僚がいた。既得権を侵されたことへの反発だろう。もし慣例通り、鳩山首相が外務官僚の美辞麗句と責任回避だらけの作文を棒読みしていたら、国際評価はなかっただろう。
解せないのは、前原誠司国土交通相の八ッ場ダム建設中止に対する反対運動だ。私見だが、地元建設賛成派も本当は八ッ場ダムを望んでいないと見る。彼らが建設に賛成したのは、地元に落ちる金と雇用創出に期待してのことだ。もし、永続性のある地元活性化策があれば、そちらを選んだはずだ。建設中止反対が報道された当初、地元の旅館主が、「ダム建設が中止になると、土建関係の宿泊がなくなり大損害をうける。その補償をしてほしい。」と、新政権に要望していた。補償が地元の本音で、ダム建設はどうでも良いように思えた。
それでも八ッ場ダム建設中止反対のアドバルーンを上げたのは、様々な思惑があってのことだろう。住み慣れた祖先からの土地を奪われた怒りは十分に理解出来る。すでに補償金は支払われているが不十分なのだろう。しかし、今回の建設中止反対は国民の賛同を得るには拙いやり方に思える。
対して、地元自治体の八ッ場ダム建設中止反対は少し違う。古い自民党体質そのもので、関連建設会社を巻き込んだ利権が垣間見え、引くに引けないのだろう。いずれにせよ、国民全体の国益を無視した主張に思えた。
ダム建設は弊害が目立つ。急峻な日本の国土では土石の流入ですぐに満杯になりダムは機能を失う。更に、山砂の補充が止まった砂浜は浸食され、日本の海岸線はテトラポットだれけになった。この海岸風景は醜い。
洪水調整については、ダムより堤防の強化の方が費用対効果が大きい。更に建設済みダムの土砂を除去して機能回復させれば十分に対処出来る。しかし、それらへの釈明は建設官僚から殆ど出てこない。
地方は公共事業に頼り過ぎて、自立する力をなくしてしまった。地方再生に箱もの建設は弊害を生むばかりだ。新政権の官僚改造を大いに期待している。
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