要求を適度に無視するのが、老人介護のこつだ。それは国際外交にも通じる。09年9月3日
アメリカは従順な日本を甘く見て、鳩山政権登場に備えてこなかったようだ。
選挙前、日本の月刊誌「Voice」9月号に寄稿されていた鳩山論文が英訳され、その一部が米紙ニューヨーク・タイムズとワシントン・タイムズに掲載された。
その要約は「今まで日本は米国に従属していたが、これからは主張すべきは主張する。駐留米軍やインド洋給油問題も再考したい。」
論文は選挙結果が出るまではさほど注目を集めなかった。しかし、圧勝の後は俄然注目を集めた。「同盟関係を日本から他国に替えたが良い。」「鳩山は政治的に無能だ。」と、米国マスコミも政府関係者も感情的に不快感をあらわにした。
鳩山論文全体は日米関係をこき下ろしてはいず、建設的で冷静な論調だ。それに対する不快感の度合いを見ると、米国は日本を対等な相手と見なしていないようだ。互いに言いたいことを伝え、話し合いで新しい関係を構築するのが正しい外交とされている。しかし、現実の国際関係においては神話かもしれない。権力者ほど、従順な部下を可愛がる。世界一と自認している米国にとって、本音を主張し始めた日本は可愛くない存在なのだろう。
今回の米国の反応に、従順だった古女房が突然に自己主張し始め、亭主が怒りまくっている三文芝居が思い浮かんだ。
--古女房日本は米国亭主が勝手気ままに浪費する金を手内職で苦労して貢いで来た。亭主が浮気してもひたすら耐えた。しかし、堪忍袋の緒が切れ「自分の道を歩かせて下さい。」と、オズオズと申し出ると、亭主は激高した。
「何を生意気な。誰のおかげて生きてこられたと思っている。」
怒りまくる亭主に、古女房はオロオロするばかり。--
それにしても歴代自民党政権はアメリカに弱腰過ぎた。農産物、綿織物、半導体、車、と日米は摩擦を繰り返し、いつも日本は従順に従って来た。日本駐留米軍の贅沢にも、クエート、イラク、アフガンでの紛争にも、言いなりに金を出した。頭越しに中国と親しくされ、冷たくあしらわれても我慢して来た。ウインドウズを凌駕する日本独自のOSを目指したTRONプロジェクトでも、次世代戦闘機開発でも、様々な先進プロジェクトを立ち上げる都度、米国の圧力を受け、多くは頓挫させられて来た。
米国は相手の立場に立って考えるのが苦手な国だ。このようないびつな日米関係を作り上げた自民党外交を、新政権はそっくり継承する必要はない、と思っている。
緑道公園にて。
涼しいので母は上着を着た。この写真では母はとても元気に見える。
帰りに赤羽駅近くの薬局に寄った。
レジで清算していると、車椅子の母が手袋がないと呼ぶ。
「金を支払ってから、探すから。」と言っても、すぐに探してくれときかない。私は母を無視して支払いを済ませた。それから手袋を探すと座席の間に落ちていた。
「老人介護のこつは適当に無視することです。要求を生真面目に聞いていると身体が持ちません。」
やり取りを見ていた薬剤師に言うと、「なるほど。」と感心していた。
老人は身体が思うように動かず、思いつくままに手足のように介助者を使おうとする。たとえば、健常者は手袋を落せばすぐに拾う。しかし、すぐに拾えない老人は、「手袋を拾って。」とすぐに口に出す。若い障害者なら、相手のことを考え、相手が動けるタイミングを計って頼むが、老人はその配慮ができない。しかし、老人の手足になって動くのは不可能だ。老人の頼みを適当に無視しないと、介助者は疲労困憊して挫折してしまう。
涼しくて、先日までうるさく鳴いていた蝉の声が消えた。夏休みが終わり、赤羽自然観察公園から子供たちも消えた。
夏休みまでは、ザリガニ釣りの子供たちで賑わっていた。子供たちの遊び方をみていると大人になった姿が見える。
夏休みの終わりの頃、ザリガニを入れた水容器を下げた男の子が蝉を捕まえた。その子は躊躇なく、蝉をザリガニの水容器に押し込んだ。
「ザリガニと一緒にしてはダメだよ。蝉はとまる所がなくて疲れちゃうよ。」
仲間の男の子はそう言いながら、蝉を容器から外へ出した。
これは想像力の有る無しで、頭の善し悪しではない。先の子供は思いやりのない大人になり、後の蝉を外に出した子供は、優しい大人に成長するのだろう。
先日、テレビ番組に出ていた男の子二人も対照的だった。
好きな食べ物は、と聞くと、一人は魚、もうひとりはハンバーガーと答えた。魚好きは、総ての質問にハキハキ答えて、とても利発だった。対して、ハンバーガー好きはでっぷり太り、頭の回転も鈍かった。今からそれでは40歳前に脳梗塞を起こしそうだ。対して魚好きはスリムで、健康に長生きしそうに見えた。
魚に多い成分DHA,EPAは血液をサラサラにし、頭の働きを良くする。昔、日本人は魚を食べるから頭が良いと言われていた。しかし、子供の食生活はがらりと変わり、殆どはハンバーガーが好きと答える。これでは、将来の日本は、頭が鈍い隠れ脳梗塞の大人ばかりになりそうだ。
日本人が魚離れし、肉好きに変わったのも、余剰農産物のはけ口に困ったアメリカの策略だった。和歌山太地町のイルカ漁や南氷洋の捕鯨反対テロの背景にも、欧米人の独善的な臭気を感じる。まさか、日本人を愚かなメタボ民族にしようと計画した訳ではないだろうが、相手を無視した文化思想の押し付けは不愉快になる。
今は涼しいが、本格的な秋はまだ先だ。しかし、空は夏の盛りより透明になってきた。私は夏の終わりに1年の終わりを感じる。
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