しっかりしてくれないと絵が描けなくなる、と言うと、母はしっかりした。09年10月15日
14日
13日夜から14日朝まで、何度も母にブザーで呼びつけられた。殆ど睡眠が取れず、心身共に疲労している。呼びつけた理由は、薬飲んだかしら、テレビのリモコンはどこ、メガネはちゃんとしまってある、入歯はどこ、そんなつまらないことばかりだ。しかし、夜の母の頭は狂っていて、文句を言っても記憶に残らず効果がない。
午前中、疲労困憊していたが、買い物があるので母を散歩へ連れ出した。散歩中の母は知性を取り戻し、普通に会話できる。途中、東京北社会保険病院下の公園で、これからのことを母に厳しく話した。
前夜のようなことが続くと、丈夫な自分でも身体を壊し共倒れになってしまう。更に辛いのは、絵に集中できないことだ。今、やっと思うままの絵が描けるようになったのに、このまま良い作品を残せずに一生を終わるのは悔しい。母にそんなことを話した。
母は前夜のことは何も記憶していなかった。
「自分がそんなにひどいことをしていたとしたら、大変申し訳ない。」
母は謝った。そして、自分に厳しく言い聞かせて、無意識にそんなことをしないようにする、と言った。
今まで、繰り返し注意しても効果なく、半ば諦めていた。しかし、その夜は一度もブザーで呼びつけなかった。絵が描けなくなると言ったのが、効果があったのかもしれない。
15日
夕食後、ベットについた母に、
「これからゆっくりトイレに入るから、絶対にブザーを鳴らしてはだめだ。」と、言うと、
「すぐに鳴らして、邪魔をしてやる。」と、嫌がらせを言った。
母がへそ曲がりになっているのは、頭がしっかりしている証拠だ。夜に正常を保つのは殆ど無理と覚悟していたが、本人の意思によって、少しは回復するるようだ。しかし、急変は高齢の常。明日も明後日も同じとはいかないだろう。
昼に友人から電話があった。しばらく世間話をしたあと、母の具合はどうか、と聞くのでありのままを話した。彼は夫婦で認知症の義母の介護をして看取った。だから、多くを語らなくても理解してもらえる。終わりに、彼は「生活は大丈夫か。」と聞いた後、
「お金が必要になったらいつでも声をかけてくれ、何とかする。」と付け加えた。
「その言葉だけで、とても有り難い。歯を食いしばって何とか切り抜けるつもりだ。」
私は深く感謝して電話を切った。
母の頭は少し回復したが、体力の低下はどうしようもない。咳も増え、心肺機能は著しく低下している。2003年に手術した肝臓ガンが肺に転移しているかもしれないが、詳しく調べる意味はない。96歳の余命の長さは健康でもガンでも殆ど変わらない。
住まい下環八の横断歩道。
午後3時10分、赤羽駅近くの上野歯科医院へ出かけた。予約は3時半で、20分ではギリギリだ。急いでいると、大型犬の小次郎君に会った。彼は失明しているが、すぐに私と分かり、尻尾を振りながら駆け寄って来た。
「昨日、蛋白質を制限したので、今日は元気です。」
飼い主のKさんが嬉しそうに言った。彼は腎機能が落ち、蛋白質の分解物の排出がうまくできない。その一方、肝機能も低下しているので蛋白質を必要とする。この相反する治療の兼ね合いはとても難しい。
嬉しそうな小次郎君と別れるのは辛いが、上野歯科へ急いだ。
弁天通の上野歯科には3時半丁度に着いた。ここは予約時間を守ってくれるので助かる。今日はメンテナンスだけだが、歯石は殆どなく歯肉の健康状態も良いので、次は来年1月で良いとのことだった。
歯磨きは、以前は超音波歯ブラシとパルス水流を併用していたが、結果は芳しくなかった。
今は、様々な形状の歯ブラシ6種を使い、場所に応じて使い分けている。歯肉が健康になったのは手磨きに変えたからだ。
帰り、薬屋で母用の強壮ドリンクを買った。過労で風邪を引きそうなので店で1本を飲んだ。その時むせ、薬液が鼻腔に逆流して猛烈に痛んだ。しかし、痛みが取れると、風邪症状の鼻の違和感が消えていた。もしかすると、薬液の漢方成分が鼻粘膜に良かったのかもしれない。
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