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2009年11月25日 (水)

ガンと闘わないことで、母は穏やかに生きている。09年11月24日

深夜、寝返りを手伝ってくれと母に呼ばれた。最近、2時まで仕事をしているので、苦にならない。
「迷惑かけるね。本当にありがとう。」
寝返りを手伝った後、母は何度も礼を言った。

先日、NHK特番でコミック「バカボンド」の作者井上雄彦氏を取り上げていた。
「バカボンド」は宮本武蔵を描いた長編だ。彼は又八の母お杉の死を描くにあたり、死の寸前に人は何を考えるのか、悩んでいた。井上雄彦氏が悩んでいたのは、死に至る数分から数時間のことを言っているのだろう。

臨終に何を思うかは、私もよく考える。死寸前の短い時間に限定すれば、それは眠りと同じで、何も考えないと思っている。生まれてから何万回も眠ったが、その一瞬はまったく記憶にない。

昨夜、NHKスペシャル「立花隆思索ドキュメント、がん、生と死の謎に挑む」を見た。番組中、数千人の死に立ち会ったホスピス医師が臨終について語っていた。彼によると、誰でも死を受け入れる力を備えていて、皆、別れを告げ静かに逝くと言う。それはとても深い言葉だと思った。

どのような経緯でも、逝く者は感謝を残し、送る者は哀悼の意を表す。死は総ての煩悩が消えた安らかな世界で、それが臨終の自然な姿のようだ。

----旧知の老医師は、死ぬ寸前に呼吸困難などで苦しむことがあるが、それは生体が生理的に反応しているだけで、本人は何も感じていない、と話していた。

先日、古い知人が電話して来た。母は弱ったが96歳になった、と言うと大変驚いていた。
「施設に入れているのか。」
彼は聞いた。
「経済的な理由も大きいが、それ以上に後悔するのが厭だから、施設には入れずに在宅で看取ることにしている」
そう話すと、彼は深く共感していた。
彼の九州の母親は94歳で亡くなった。その頃、東京で多忙に仕事をしていた彼は殆ど見舞いに行けず、そのことを、いつまでも後悔していると話した。

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緑道公園で、紅葉が美しいと喜ぶ母。予報では暖かくなると言っていたが、曇り空で肌寒かった。

昨夜のNHKスペシャル・立花隆思索ドキュメントは重かった。
免疫細胞のマクロファージが、ガン細胞を補食すると考えられているが、番組では逆だと説明していた。それによると、マクロファージはガン細胞の増殖を助けているらしい。それだけでなく、免疫や修復に関わる総ての細胞たちがガン細胞の増殖に手を貸していると言う。それは命を保っための正常な働きで止める事はできない。正常細胞とガン細胞の違いは小さく、区別してガンのみを攻撃する事は難しい。そこにガン治療の難しさがあるようだ。

しかし、少数ながら末期ガンが自然治癒した例がある。その場合、どのようなシステムでガン細胞は駆逐されたのか、番組で言及されなかったのは残念だった。

立花隆氏は進行した膀胱ガンに罹っていて、再発の危険は高い。本人はクオリティ・オブ・ライフを低下させてまで治療をする気はない、と話していた。

M_n母は80代に三種のガンに罹り10回ほど手術をした。90歳での肝臓ガン手術を最後にガン治療は一切止めている。4年前、肝臓ガンの腫瘍マーカー値が高かったが、そのマーカー検査すら止めた。検査をすれば暗示がかかり母は弱るからだ。

ガンは恐ろしいほどに強大な病魔だ。しかし、母を見ていると共存できるような気がする。去年まで、母は肝臓に起因する腹水に苦しんでいたが、今年になってすっかり治まってしまった。もしかすると、母がガンに闘いを挑まないので、彼らも手心を加えているのかもしれない。

現代医学は人のことを、まだ十分に分かっていない。どんな難病でも奇跡はある。しかし、奇跡的に生き延びたとしてもそれは一瞬のことで、やがて死は必ず訪れる。僅かに生き延びるために苦しく多大な努力をするより、静かに人生を全うして死を迎える方が合理的かもしれない。

補足すると、欧米では終末期に入って、口から食べられなくなったら、苦しみを長引かせるだけの延命治療はしない。延命については患者の頭が明瞭で意思表示ができる場合もあり、ケースバイケースだが、自然死は一番苦しみが少ない終わりの迎え方のようだ。

Good2----------------

明けない夜はない。

悪いことは永遠に続くことはなく、必ず良いことが訪れる。

同様に、良いことが続くことはなく、必ず悪いことがやって来る。

と、心配性のポチをタマはからかった。


Ma_3

Ma_4

Ma_5

Goof

Mas

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