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2009年12月15日 (火)

ガンが克服されても、リーマン予想が解明されても、その先にもっと深い闇が現われるだけだ。09年12月14日

冠雪した雲取山。山中のクマや鹿も、私とは逆に、山から東京を眺めているのだろう。

Kumo


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Su年賀状作りに時間が取られる。手抜きをしてもストレスが溜まるだけなので、結局、一生懸命になってしまう。

母のニトロの貼り薬、フランドルテープが足りない。お昼前、川向こうの生協浮間診療所へ処方箋を貰いに母を連れて行った。

月曜は主治医の藤沼医師はいない。老人に人気のある藤沼医師がいないと患者はガラガラで、待ち時間なしで診てもらえた。医師不足の地方から見たら、信じられない診療所風景だろう。

3人体制で一番若い女医さんが母を診てくれた。前回、血液検査をした結果を聞くと「胆道系の数値が悪いですね。」と心配そうに言った。微妙な表現だが、その辺りが藤沼医師と違う。彼なら96歳の母の年齢を考え、「平均と少し違いますが、気にする程ではないです。」と明るく言う。数値より、本人の健康感が重要で、元気そうなら気にしない。その辺りの感覚が老人達に人気のある理由だろう。

上写真は浮間風景。

下写真は赤羽自然観察公園の鳥の巣の跡。

日曜午後、NHKスペシャル「立花隆思索ドキュメント、がん、生と死の謎に挑む」を再放送で見た。二度目だが、このテーマは引き込まれる。ガンは人類共通の恐怖の病で、克服のために世界中で莫大な国家予算が費やされている。しかし、あまりにもガン化する仕組みは複雑巧妙で、克服は更に50年以上はかかりそうだ。

番組進行の立花隆氏は根治できない多発性の膀胱ガンに罹っている。手術は成功したが、確実に2,3年後に再発し、抗がん剤治療をしても延命効果は僅かだ。彼はQOLを低下させてまで抗がん剤治療をする気はない、と語っていた。彼は今69歳。昔なら長生きの部類に入る。
寿命への感覚の変化を思うと、将来、百歳で死ぬ身を短命と嘆く時代が来るかもしれない。

深夜はNHKスペシャル「魔性の難問-リーマン予想・天才たちの闘い」の再放送を眠気を我慢しながら見た。リーマン予想を極めて大雑把に説明すると、不規則に出現する素数の数列にも一定の法則がある、とされる。この法則は「創造主の暗号」と言われ、解明出来れば宇宙の法則から生命のシステムまで一気に解明できると言われている。

生涯をかけ、精神を病むまで解明に熱中する数学者たちを見ながら、前記のガン克服と同じ感慨を覚えた。リーマン予想が解明できたら素晴らしい。しかし、それが真に「創造主の暗号」であったとしたら、解明の後、人類はどのような道を辿れば良いのだろうか。

人ができることは神には到底及ばない。人の心は5千年前から5千年後まで、少しも進化しそうにない。病を克服し数式を解明しても、死や苦悩を克服できる訳ではない。その先に更に深い絶望を知るだけだ。結局、未来人も古代に生まれた宗教に救いを求めるのだろう。

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来日する習近平国家副主席と天皇陛下との会談に宮内庁が苦言を呈した。それに対し、「30日ルールって誰がつくった? 知らないんだろ君は」と小沢幹事長が記者会見で噛み付いていた。小沢氏の強硬姿勢は、裏に右翼の暗黙の了承があったのだろう。習近平国家副主席が来日すれば右翼は街宣車を繰り出すだろうが、それは形式だけの気がする。ちなみに老人介護を長年やってきた経験では、お年寄りは短期間に体調が変化するので30日ルールは現実的でない。母の場合、3日先の健康状態すら分からず、会う会わないはその日に決めるのがベストだ。

習近平国家副主席の序列は6位だ。しかし、日本訪問と天皇陛下との会談がセットになれば、国家主席への道は序列を越えて近くなる。現、胡錦濤中国国家主席も就任前に日本訪問して地位を確保した、とニュースで解説していた。

民主党に対し自民党が「皇室の政治利用だ。」と噛み付いていた。この批判は社民党や共産党と同じで、右翼の阿部元総理まで左翼の論調に同調しているのが面白い。地雷除去から自国産品の売り込みまでして平和外交に寄与している英国王室のように、日本の皇室も平和外交を大いにやってほしいと願っている。

先の岡田外相発言から今回まで、宮内庁と自民党は皇室を神格化して反発している。神格化の方がはるかに危険な政治利用だ。もっとも、皇室の家庭の問題まで口出しする現宮内庁長官は、君側の奸に見えるが。

私は右翼でも左翼でもない単純な民族主義者だ。だから、普天間基地問題でアメリカが強圧的な態度をすると、理由に関係なく米軍出て行けの気分になる。

イスラエルの日本学の学者が、若者層が無関心なので近い将来に皇室は自然消滅する、と言っていた。これは、日本文化を知らない、ヨーロッパ的な考えだ。歴史的に、今より皇室に無関心な時代があったが、皇室はいつも文化的象徴としてあった。皇室が政治に関与したのは歴史的に短い期間だけだ。権力に深く関与しなかったから、世界で一番長く続いている皇室なのだろう。

日本文化の一環として皇室が庶民にも支持される姿は欧米には理解し難い。皇室によって保持されている伝統文化は無数にある。伝統工芸の職人だった私には、宮内庁御用達の肩書きを誇りにする感覚は肌身で分かる。だから、イスラエルの学者の消滅説に対し、日本文化はそんなにやわではない、と反発してしまう。

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