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2010年1月25日 (月)

NHK「メイド・イン・ジャパンの命運」東芝の高機能テレビは大鑑巨砲主義だった。10年1月24日

夜9時、NHKスペシャル「メイド・イン・ジャパンの命運」を見た。
メインに取り上げられた東芝の高機能テレビ開発を見ながら虚しさを覚えた。技術者の熱意と努力に敬服するが、苦労したのは彼らがITに対応していなかったからだ。もし、採用したセルプロセッサに習熟したソフト技術者が現場に組み込まれていたら、無駄な苦労をせずにすんだかもしれない。番組中、ソフト技術者と現場が電話でやり取りするシーンがあったが、隔靴掻痒の感があった。今、勢いがある中国韓国のメーカーなら、そのような無駄は徹底的に削ぎ落しただろう。

セルプロセッサは東芝、IBM、ソニーが共同で開発したものだ。これを千個繋げばスパコンができると言われているほど高性能なCPUだ。ソニーはゲーム機PS3の心臓部に使ったが、東芝はようやくこの高機能テレビ利用へ到達したようだ。しかし、威力を十分発揮しているとは思えない。録画の容量も、全番組26時間では中途半端だ。1ヶ月、せめて1週間分あったら、世界の意識を変える程の衝撃があったはずだ。

そのような開発システムの弱点を経営サイドが認識していないとすれば問題だ。頑張れば結果が出たプロジェクトXの時代は終わった。今は頑張りに加えて、破天荒な生きの良さがなければ国際競争を生き残れない。

不必要かつ中途半端な高機能テレビが100万円ではヒットしそうにない。多分、リモコンのボタンが恐ろしく沢山あって、購買層の熟年以上の世代は使いこなせないだろう。むしろ、30万円のテレビを機能別に特化して3種売る方が受け入れられやすい。あるいはパソコンのように、高品質のディスプレーに機能別の本体をユーザーが自由に選んで組み合わせるのもいい。

今、高額で売れる製品があるとすれば、映像と音響を今後25年間は古びることがない美しいデザインに統合したシステムだ。しかも、時代に応じて最新のディスプレーや本体を拡張発展的に取り替えられ、リモコン無しで、手指の動きだけで、あらゆる操作ができることが必須だ。使用期間を25年としたのは、熟年世代が死ぬまで使い続けられる平均値だからだ。それなら、ユーザーは高級家具のように愛着を持ち、生涯、同一メーカーの製品を買い替え続けるだろう。そのような製品が生まれれば、世界の耳目を集め、低迷する日本家電が一矢を報いることができるかもしれない。

東芝はテレビ部門で唯一黒字健闘している日本メーカーだ。その開発部門が、この水準の発想で推移しているとすれば、日本家電の未来は暗い。

今、印刷会社などが、プリンターでディスプレーを印刷して作る超激安薄型テレビを開発中だ。篠田プラズマのような世界に類のない細いチューブを並べた薄型テレビを作っているメーカーもある。番組にそのような独自の技術を期待した。しかし、時代とずれた大鑑巨砲主義の高機能テレビでは、思わず、敗戦間際に大逆転を期して出撃し、撃沈した戦艦大和を連想してしまった。
「これほど優れた機能を大量に盛り込んだテレビは他にない。」
番組中で語られた技術者たちの言葉に誇張はない。しかし、戦艦大和の技術者たちの言葉に酷似しているのが気になる。どんなに優れた製品でも、時代に合わなければ勝ち残ることはできない。

薄型テレビが激安になった理由に技術革新の早さがある。昔は高いテレビを買えば10年は我慢できた。しかし、今は3年で大きく進化するので、買い替えサイクルは短く、高額製品を買いにくい。すぐに古臭くなるテレビに100万を出すユーザーは少ないだろう。

ちなみに高機能テレビ「CELLレグザ55X1」は100万円の売価維持は難しく、現在の最安価格は729000円辺り。これから更に60万以下へ下落するだろう。遡って26時間の全放送を自動録画できる高画質55インチが60万以下になれば、割安感がでて結構売れる。それなら、始めから強引に60万に設定し、10倍量を生産して利益を確保すべきだった。

テレビ輸出で韓国は世界一だ。しかし、韓国の輸出が増えるほど日本との貿易赤字が増える構造になっている。それは韓国の輸出品に日本製部品、素材、製造機械が大量に使われているからだ。その貿易構造は台湾中国も同じだ。

それについて、韓国銀行から興味深い発表があった。--2010年8月発表
今年、韓国の日本からの輸入は過去最高を記録した。上半期の日本からの輸入は、電子部品など309億米ドル。韓国から日本への輸出は128億米ドル。その差は181億米ドルと韓国は大幅な輸入超過だ。それは日韓貿易が始まって以来、最大の赤字で、韓国の輸出が増えれば、それ以上に日本からの部品材料輸入が増える。その構造はこれからも深刻化し、この1年内に韓国輸出は33%増加するが、同時に日本からの輸入が39%増加する、と危機感をあらわにしている。

そのように、もの作りが得意な日本が製品まで手がければ成功しそうだが、そうはならない。中国や韓国のシステムを真似しても日本は不利だ。
たとえば韓国サムソンは日本製品をキャッチアップすることで有利にスタートしている。税制でも日本より恵まれている。しかも、社員は40歳で優劣振り分けし、大半の者を否応なく引退させてコストカットに努めている。そのようなメーカーとの競争はとても厳しい。

今は、最新の機械を買えばアフリカの後進国でも半導体を作れる時代だ。元気の良い中国、台湾、韓国のメーカーであっても、後発の新興国のメーカーに取って代わられるリスクを抱えている。そのように、製品作りは儲けが大きいがリスクもある。

儲けが小さくても日本は得意なもの作りで地道に行くしかないようだ。技術の積み重ねが必要なもの作りは、やすやすとは真似できない。話題のリチウム電池の重要部品の世界トップメーカーは日本にある。半導体ウエハー切削砥石のトップメーカーも日本。中小企業なのに世界トップメーカーは他にも無数にある。これからは次世代電気自動車の重要部品を日本の中小企業が独占し、世界の大メーカーの首根っこを押さえつけ、利益をむしり取ることは可能だ。そうなったら実に爽快だ。そんな、夢を持てるような番組にしてほしかった。

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先日、木曜日の夕暮れ、雲がオレンジ色に輝いていたので撮った。手前は埼京線北赤羽駅。ブルーのお台場行きの電車が左手に写っている。川向こうは川口。最近、高層マンションが増えた。
今は日が長くなり、5時頃まで明るい。来月になると土筆が顔を出す。冬はあっという間に過ぎるが、夏は5月から10月まで、うんざりするほど長い。

今日も好天だった。日射しは強く、日影の冷たさが心地良かった。
生ニシンが安かったので3匹買った。帰宅してさばくと白子が入っていた。数の子を期待したが、オスなので安かったようだ。
昆布と甘辛く煮た。美味い。白子を母は喜んで食べていた。九州では身欠きニシンばかりで、生ニシンは手に入らなかった。だから、母も私もニシンの白子は珍しい。

NHKニュースで、宮崎駿氏の呼びかけで、所沢市と東京・東村山市にまたがる雑木林「淵の森」を手入れした、と伝えていた。「淵の森」は宮崎監督が「となりのトトロ」の構想を練った場所として知られている。以前なら、「ほほう。」と感心して聞き終わるニュースだが、赤羽自然観察公園で厭な思いをしているので、手入れの内容が気になった。

作業のゴミ片付けは合格だ。しかし、下草刈りは疑問符が付く。用材としてクヌギを育てるためなら下草刈りは必要だが、宮崎監督が言っているように「自然を大切にするため」なら大いに問題がある。この辺りの雑木林なら、福寿草やカタクリが生えているかもしれない。自然界に雑草と言う植物はなく、すべてがバランスよく生きているのが自然だ。宮崎監督は笹を徹底的に刈り取ると言っているが、刈るのは外来植物だけにして、自然に生えたものは総て残して、後は自然に任せるべきだ。


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