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2010年3月11日 (木)

奇跡を、強引に引き寄せようと頑張っている。10年3月10日

もうソロソロ来る頃か、と思っていたら家賃の督促状が公団から届いた。良い知らせは、いつもじらされるのに、悪いしらせは、律儀にやって来る。
父の借金に厭な目に会って来た私は、債務は作らない主義だ。だから、どんなに厳しくても、何とか金を工面して督促状とは縁がなかった。

今までは、とことん追いつめられると奇跡が起きていたが、そろそろ運が尽きる頃だ。
「公団は国営なんだから、2,3年滞納して踏み倒せば良い。」
苦労人の知人の中小企業社長は乱暴なことを言う。私は踏み倒しはしないが、即効性のある解決方法もないので、悩まないことにしている。悩んでも悩まなくても結果は同じだ。悩むより、地道に仕事をしている方が前向きだ。

家賃や住宅ローンを抱えた生活はもろい。バブル期までの住宅ローンは、途中で家を処分しても多額の儲けが出たが、土地価格が低迷する近年は多額の負債が残る。その点、家賃はリスクがない分、少しだけましだ。

四月に税金の還付金が少しあるので、一瞬踏みとどまれる。それらを計算すると、最悪の日まで3ヶ月ある。仕事は3段階先まで考えていて、今の1段階がダメなら次へ進む。そうやって頑張っているうちに、奇跡を引き寄せることができる、と思っている。

夕食後、仕事をしていると、母が鈴を鳴らして呼んだ。ベットに横になりたいから連れて行ってくれ、と言う。母が鳴らした鈴は、知人の彫刻家が作った高さ15センチのウサギ飾りが付いたステンレス製鋳物だ。堅い素材なので、とても澄み切った音がする。

母を寝かせた後、母が逝けば、誰もいない部屋で、この鈴の音の幻聴が聞こえるかもしれない、と思った。それは、長く介護をして見送った家族がよく口にする喪失感の一つだ。
「失うことを恐れるな」
釈迦は説いた。彼は多くの大切なものを失い、その境地に達したのだろう。実を言うと、今の私も失うことを恐れていない。深い哀しみを味わうだろうが、それを恐れてはいない。

深夜2時まで仕事に熱中しているので、頭が冴えてすぐに寝付けない。布団に横になって色々考えていると、母がブザーで呼んだ。急いで行くと、目を見開いて、電灯の笠の上で赤ん坊が遊んでいると言う。また幻覚が始まった。部屋を明るくすると、母はすぐに正気に戻った。
「夜中に呼んで、ごめんね。」
母は何度も謝った。母の幻覚は、以前は枕元に手紙がないとか、メガネケースがないとか、現実的だったが、最近は、かなりシュールになって来た。先程も、呼ばれて行くと、壁にかけた絵から水か溢れ出てると言っていた。これも、電灯を点けるとすぐに正気に戻った。
「昨夜は、赤ん坊がいると言っていたよ。」
眠れないでいる母に話した。
「そんな、えずかこと言わないでよ。」
母はとても怖がった。"えずか"とは久留米の方言で"怖い"だ。
祖母が死ぬ前、肝機能が衰えて、解毒されない老廃物が脳に影響して幻覚が起きた。母は何か悪いものが憑いたと怖がるので、肝臓の所為だと説明した。それを母は今も口にする。
「ばあちゃんに、悪いもんが憑いたと悪口言っているから罰が当たったんだ。」
寝ている母に言うと、更に怖がった。可笑しくなって「早く寝な。」と言って仕事に戻った。母に幻覚が起き始めたのは、肝臓腎臓が弱ったからだろう。

Haha_2ひさしぶりに桐ヶ丘を抜けた。
写真の母は元気そうだと誤解される。
本当は、2,3メートル歩くだけで息切れがする。

公園の日影に、昨夜の雪が残っていた。
木々の新芽は確実に膨らみ、春は間近だ。
みぞれに濡れた苔の緑が美しい。
背景の白い木肌の大木はプラタナス。大きな木を見ると、心が安らぐ。木を乱暴に切る者を見ると怒りを覚える。

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