毎夜、高齢の母は、朝が迎えられないと思いながら眠りにつく。10年5月28日
昨日はヘルパーのOさんがシャワー介助に来た。Oさんは新潟の人だ。
「お会いするたびに元気になって、とてもうれしいです。」
純朴に、母の回復を喜んでくれる優しさが嬉しい。
シャワーを浴びると母は疲れる。母の散歩は休み、昼食後に一人で買い物へ出た。
エレベーターを待つ間、荒川の向こうの川口方面を眺めていると驟雨が駆け抜け、雨に洗われた青空に真っ白な積乱雲が見えた。
最近、一人で買い物へ出かけることが増えた。車椅子の母がいないと、誰も私だと気づかない。
老いは想像していたのと違う。体力が落ちるだけでなく多くの喪失感に悩まされる。失うことを当然として受け入れたら平安に生きられるのだが、凡人にはとても難しい。
先日、鉛筆画を仕上げて母に見せると喜んでいた。
母は老いても、絵を見る感覚は確かだ。失敗した絵には興味が薄いが、上手く行くと、心底喜んでくれる。母が逝けば、本当に分かってくれる相手がいなくなり寂しくなりそうだ。
駅前のホームセンターでT字形のゴムベラガラス磨きを買った。
早速、断熱のために貼っていプチプチを剥がし、汚れたガラスを磨いた。スプレーで湿しながら、汚れた水滴をすくい取ると面白いように綺麗になった。
午前中の母は冗談が出る程に元気で、頭もしっかりしている。しかし、夕暮れが近づくにつれ口数が減り、夕食後は死んだように眠る。声をかけても反応がなく、このまま死んでしまうのでは、と思ってしまうほどだ。
昨夜、8時に様子を見に行くと目を覚まし、テレビを消してくれと言った。以前は暗闇と無音をとても嫌がっていたのに大きな変化だ。
ガラス窓が綺麗になって、ベットの母からも夜空の満月がよく見えた。
「月と雲がきれいだね。」
母はしばらく夜空を眺めていた。
「今日も私の世話で疲れたでしょう。優しくしてくれて、本当にありがとう。」
母は何度も礼を言った。最近、夜になると母はお礼を言う。眠っている間に逝ってしまうかもしれない、と思っているのかもしれない。
「大した世話じゃない。明日は散歩へ連れて行くから早く寝な。」
声をかけると、母はまた「ありがとう。」と礼を言った。
今日も母は無事に朝を迎えた。ベットから起こすと、母の腰に激痛が走り顔をしかめた。5個つぶれている背骨の圧迫骨折が進行したかと冷や汗をかいたが、すぐに治まり安堵した。
今日も爽やかに晴れていた。
お昼前、中華マンを温めて、母を散歩へ連れ出した。
東京北社会保険病院下の公園で、二人で昼食代わりに中華マンを食べた。
昼食後、試しに母を手摺につかまらせて歩かせてみた。
母は左手で手摺、右手で杖をつきながら5メートル歩いた。
20メートル歩いていた4月と比べると短いが、期待以上の回復だ。
もう少し頑張れば10メートルくらいは歩けるかもしれない。
緑道公園へ出た。道脇の斜面に木イチゴが沢山実っていた。
ここの木イチゴは香り高くて甘い。
桐ヶ丘生協で買い物をし、都営桐ヶ丘団地を抜けて帰った。
下写真。桐ヶ丘団地の公園。
40年前は、いつも大勢の子供たちが、この城に登ってにぎやかに遊んでいた。
今は滅多に子供の姿はない。
九州日南市の漁師町に住む知人に絵を送った。
去年、知人は家を新築した。新築祝いに絵を贈ると約束していたが、額が買えなくて延び延びになっていた。絵が届くまでの2日間、何度も郵便の追跡サービスにアクセスした。
26日12時、赤羽北二郵便局引き受け。19時、新東京支店通過。27日12時、熊本北支店通過。28日6時、日南支店到着。28日12時30分、配達済み。
深夜の山陽道を疾走するトラック。関門海峡を抜けたあたりで夜明け。深夜、熊本から霧島山麓を抜け、夜明け前に日南市に到着。
刻々と変わる絵の行方を想像していると、自分が旅をしている気分になって楽しかった。
今日はipad発売のニュースばかりだった。私はMacのヘビーユーザーだが、ipadにはまったく興味がない。大きくて鮮明と言われているが、デスクトップ型のディスプレーと比べたらとても小さい。簡単に拡大できる機能が付いていても、長時間眺めるのは辛そうだ。
電子書籍は発光型ディスプレーには不向きだ。アマゾンのキンドルのような反射型が長時間読むのに向いている。余程ゆとりがあれば、ipadを玩具代わりに買うだろうが、基本的に外ではパソコンはやらない主義だ。
しかし、電子書籍には興味がある。印刷にコストがかからない分、作家の印税が多いのが魅力だ。目が疲れる発光型のipadでも、絵本は向いている。これからその方面に売り込みをかけてみようと思っている。
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