はやぶさ帰還とワールドカップ。日本の奇跡は体力より知力にある。10年6月14日
昨夜は小惑星探査機「はやぶさ」帰還のオーストラリアからの実況を見ていた。小惑星「イトカワ」へ着陸した後、60億キロの満身創痍の旅は心を打つ。和歌山大学スタッフのネット中継は小画面で不鮮明だったが、夜空の雲を明るく浮き上がらせ、燃え尽きた最期は静かで美しかった。
最近、涙もろくなった。燃え尽きる本体の傍らを、地上へ一直線に向かう回収カプセルの小さな光跡に胸が熱くなった。貴重なカプセルを無事に地球に送り届けて、我が身は燃え尽きる。その姿に様々な人生が重なった。
回収カプセルはアボリジニの聖地に無事に軟着陸した。速報画像では、傍らのスタッフに比べ、カプセルは赤ちゃんのように小さく、作りたてのように光り輝いていた。その姿に科学と人が限りなく近づいたように感じた。昨夜、オーストラリアの夜空を美しく輝かせた光跡を見て、未来の学者を志した子供が数多くいたはずだ。この20年間、若者が夢を持てる出来事が少なかったが、一昨年の5人の日本人学者のノーベル賞受賞に匹敵する感動を与えてくれた。
「はやぶさ」の快挙が経済や未来に与えた国益は計り知れない。 しかし、「はやぶさ」後継機開発についた予算は3000万。それは天下り官僚3人分の年俸にも満たない。もし、5人が天下りを辞退すれば、要求した5000万を軽く越える。それだけの骨のある官僚はいないのだろうか。もし、天下り官僚が「はやぶさ」なみの仕事をしてくれるなら許すが、実態は昼間は茶飲みしながら時間つぶし、夜は公費で夜遊び。これでは、「はやぶさ」の100億分の1の価値もない。
早朝、母が呼んだような気がして目覚めた。様子を見に行くと、母は静かに横になっていて、呼んだ気配はない。「大丈夫?」と聞くと、「さっきから、襟を探しているけど、見つからない。」と、笑顔でタオルケットの端を見せた。手つきから編み物をしているつもりのようだ。「それはタオルケットだよ。」と教えると、やっと正気に戻った。
母が幻覚を見るのは、老いの孤独感によるものだ。母に小用をさせた後、テレビを点けるとNHK教育で落語をやっていた。聞いていれば母の孤独感は癒されるだろう。テレビは点けたまま自室へ戻った。
二度寝している間に2度母に起こされた。
最初はテレビに長姉が出てると言った。
「2年前の秋に死んだだろう。」と言うと、「そうなの。死んだの。」と母は驚いていた。
その次はマチ針を落したから探してくれと起こした。どうやらベットで裁縫しているつもりのようだ。
小刻みに1時間ほど寝て、「はやぶさ」帰還が見たくて、7時にNHKニュースを見た。
綺麗な画面であらためて見ると、雲が輝き更に美しく感動深かった。SF映画好きだが、作り物では、これほど素晴らしい表現はできない。
写真。昨日の緑道公園の陸橋。
下の公園課倉庫に繁茂しているフジヅタが欄干まで伸びていた。
フジヅタはすぐに刈り取られる。
しかし、植物の繁殖力は強い。
もし、東京が無人になったら、5年で植物に覆い尽くされるはずだ。
住まい下の新河岸川は清流に変わり、環八を奥秩父の熊やシカが走り回っているだろう。
一瞬、野生の動植物に覆われた東京を想像して楽しくなった。
昨日、東京北社会保険病院下の公園で母と休んでいると、知らないおばあさんが声をかけた。いつも、緑道公園を行く私たちを見ていたようだ。
「自分も昔、母親の介護をしていた。」と、この歳になっても、ああすればこうすればと後悔ばかりしている、と彼女は話した。
介護を経験した人の多くは、彼女と同じように悔いを残していると話す。
対して、私は悔いを残さず母の世話をしたつもりだったが、今は違う。5月1日の胆嚢除去手術に伴う入院がなかったら、母は今よりずっと元気だった。母が逝った後、そのことをいつまでも後悔し苦しみそうだ。
日本サッカーはカメルーン戦。相手のミスや偶然の得点を危惧していたが1-0ですっきり勝ってくれた。日本の勝ちも点差も前回記入の予想通りだ。
勝ってくれたのは嬉しいが、次の巧者ぞろいのオランダを破っての予選突破は厳しい。「はやぶさ」帰還で奇跡を生んだ知力のように、体力も奇跡を起こして欲しいと願っている。
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