人生は後戻りできず、前へ進むほかない。10年8月12日
10日、サマージャンボと1000万ジャンボの抽選があった。残念ながら全部で7枚中2枚が最下位。当たりは平均よりほんの僅か多い。ちなみに、1000万ジャンボ1等の確率は、人類を絶滅させるほどの大隕石が地球にぶつかる確率の2500分の1。期待していた母の霊力は違う方面へ向けられたようだ。
仕事の動きは活発だ。一時のあぶく銭より、永続的な仕事の方が為になる。分かってはいるが少し残念。
数日前から、母への思いがわずかに変化している。それまで、母の終末期の苦しみを緩和できなかったことを悔やんでいたが、苦しさに耐えて旅立って逝った母に敬意を抱くようになった。それで、哀しみは幾分やわらいできた。
先に逝った姉、兄、父、祖母を始め、総ての死者たちに同じ敬意を抱いている。死は人生最大の難題で、金持ちも貧乏人も、権力者も庶民も等しく迎える人生最大の難題だ。それを受け入れてしまったのは大変な偉業だ。
昨夜、レンタルDVDで「砂の器」を見た。ツタヤDISCASにレンタルを申し込んだのは3年前。見たがっていた母は間に合わなかった。
1974年松竹制作の話題の作品だった。封切り当時、29歳の私は60歳の母と祖母の介護をしていた。私が見たのは4年後で、3番落ちの新宿場末の映画館だった。心にずしんと残る映画で、いつまでも記憶に残った。
出演者の丹波哲郎、緒形拳、加藤嘉、渥美清、笠智衆、殿山泰司、と出演者の殆どが鬼籍に入っていた。刑事役の森田健作や、女中役の春川ますみがとても若々しく、過ぎ去った36年の長さを息苦しいほどに感じた。背景の東京の街角やミニスカートが懐かしかった。地方の風景も自然豊かでまだ疲弊していなかった。それらを背景にドラマは重厚に進行し、深い感動が残った。母が見たら、とても喜んだだろう。
ストーリーは国鉄蒲田操車場で身元不明の遺体が見つかったことから始まる。警視庁捜査一課の巡査部長今西-丹波哲郎-は被害者の出身地、奥出雲の亀嵩へ辿り着き、殺されたのは元巡査三木-緒形拳-だと判明した。彼は人情深い巡査で人の恨みを買うことはなく、事件は再び混迷した。しかし捜査を続けているうち、世の注目を集めていた天才音楽家和賀英良-加藤剛-と三木の間に繋がりを見つけた。和賀はハンセン氏病で石川の寒村を追われた巡礼の連れていた男児だった。三木は巡査の頃、その巡礼父子を救った・・・原作の松本清張はハンセン氏病差別から必死に這い上がろうとした青年音楽家の悲劇を描いていた。重厚なテーマ曲をバックに巡礼親子が行く日本の四季の風景が心に残った。
夕日に照らされている塔をベランダから撮った。
左は北清掃工場の煙突。右は都営桐ヶ丘団地の給水塔。給水塔下は母の散歩の定番コースだった。
北清掃工場の煙突は、昨日、近くで写真に撮ろうと歩いて行ったが、何処まで行っても空中の電線が邪魔して、結局、5キロ離れた北清掃工場まで行って撮るのを諦めた。日本は先進国なのに電線の地中化が進まず、風景を台無しにしている。むしろ、我が家のベランダから望遠で撮った方が綺麗だった。
ベランダからスカイツリーを望遠で撮った。
母は完成まで生きてくれると思っていたが、半ばで逝ってしまった。
弔問客も一巡し、これから一人暮らしの本番に入る。
早朝、風の音で目覚めた。ヒューヒューと渦巻く音は寂しく気分を滅入らせる。開け放ったままの窓からの風が涼しく、Tシャツの上にワイシャツを重ね、再度寝入った。
迷走するバスから振り落とされそうだったり、曲がりくねったパイプを覗いていたりと、嫌な夢ばかり見ていた。仕事は休みなく続けているが、生きている輝きが足りないせいかもしれない。少し、生活を方向転換しよう。
母の介護がなくなって体が楽になった。
今の気力では、母の介護には到底耐えられそうにない。心身共に新しい環境に馴染みながら時間は否応なく過ぎて行く。最近、人生は後戻りできないと痛いほど感じる。
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