木陰で抹茶を飲んでいると生きてる実感がした。10年9月21日
昨日は画家の法要で鎌倉の大船を訪ねた。
画家の法要は僧侶が来て冥福を祈る訳ではない。ギャラリーに展示した遺作に花を飾り、故人の思い出を語り合うだけだ。
予定より早く出た。朝から蒸し暑い。前日まで涼しかったので体にこたえた。
京浜東北線大船行きは混雑していて冷房が効いていない。東京駅で下車し湘南ライナーに乗り換えた。こちらはガラガラで、座席にゆったりと腰かけ音楽を聞きながら京浜工場地帯を眺めた。
この電車に乗ったのは7年ぶりだ。会場のある大船は通り過ぎて北鎌倉で下車し、母が好きだった円覚寺を訪ねた。
北鎌倉駅裏の円覚寺は、休日にもかかわらず静かだった。
日射しは強いが木陰は涼しかった。
一通りお詣りを済ませた後、木陰に茶席が設けてあったので入った。他に客はいない。点ててもらったお茶はとても美味しくお代わりをした。母は抹茶が大好きだったので、連れて来たら喜んだだろう。
緋毛氈に腰かけていると、時折、参詣客の足音が聞こえた。涼風がサラサラと木の葉を揺らした。自然の音に耳を傾けながら、心の底で止まっていた時間がゆっくりと流れ始めるのを感じた。
お茶を済ませぼんやりしていると、点ててくれた女性が話しかけた。女性の笑顔を見ると、生きている素晴らしさを感じる。最近、あまりにも訃報が多く、死についてばかりに囚われていたようだ。生きている以上、それを享受しなければと思った。
会場で待ち合わせている大宮の浜田氏に電話を入れた。彼はまだ電車の中だったので、大船駅で合流すると伝えた。
大船は鎌倉市隣の違う町だと長い間思い込んでいたが、今回初めて鎌倉市の一部だと知った。
街並も歩く人も何処となく"湘南"のおしゃれな雰囲気を感じた。
ギャラリーで画家の遺作を拝見し、残されたご主人と故人の思い出を話した。
彼は私より10歳年上。故人は世話好きだったので、家事はまったくできない人だった。そんな彼が一人で老後を過ごすのは大変に思えた。
帰りは横浜中華街へ回った。予定では浜田氏以外にも同行者がいるはずだったが、線香を上げられないなら行かないと言うことで、二人だけの会食になった。
中華街は以前ののんびりした雰囲気なくなっていた。中国人の客引きが増え呼び込みにうんざりした。
新しくできた横濱媽祖廟をお詣りした。こちらも何をするにも金々でうんざりした。
次に関帝廟へ行き、適当に近くの店に入った。
値段は安かったが塩味が濃過ぎて、浜田氏も私も全部は食べきれなかった。それでも満席になった所をみると、濃い味好き目当ての店なのだろう。
初めて中華街へ行ったのは47年前だ。その頃は2階建ての中華料理屋が並ぶ静かな観光地だった。値段は都内より2,3割は安く美味しかった。それらの店は総てビルに建て変わり、目玉が飛び出る程高くなった。値段に反し、味はどんどん不味くなった
その後、山下公園へ夜の東京湾を撮りに行ったが、アベックばかりで早々に退散した。
母の介護をしている頃、無闇と中華街へ行きたかった。やっと実現したら、趣味の悪い観光地に変わっていた。もう、二度と行くことはないと思った。
9時に帰宅した。シャワーを浴び、洗濯した後、仕事をした。収穫は円覚寺で静かに過ごしたことだった。
今日明日と猛暑が復活する。
散歩から帰って、縁台で昼寝をしたら母の夢を見た。母は元気な姿でにこやかに笑っていた。鎌倉のお寺で冥福を祈ったおかげかもしれない。
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