母と死別した猛暑の終わりに一抹の寂しさを感じた。10年9月23日
9月22日は今年最後の猛暑日だった。
予報では間違いなく明日から涼しくなると言っていた。母の死別の後に訪れた暑い夏は生涯忘れられなくなりそうだ。
夕暮れ、ベランダから環八の荒川大橋方向を撮った。
もやに霞む夕日を思いを込めて撮った。
母を遠くへ連れ去ったこの猛暑の終わりに、一抹の寂しさを感じた。
今日23日秋分の日は予報通り寒い雨だった。
これほど天気予報が的中するのは珍しい。余程、単純な気圧配置だったのだろう。
昼食後の散歩のために新しい茶色のビニールかさを下ろした。このかさは20年前、特注であつらえたものだ。始めは黄、緑、グレー、茶と4種24本あったが、今は4本残っているだけだ。使い捨てのビニールかさと違い、骨太で丈夫だ。
エレベーターで、いつも母に親しく話しかけていたNさんと一緒になった。
「一人に慣れましたか。」
と聞かれたので、「がらーんと広い部屋が寂しいです。」と答えると深くうなづいていた。
彼は夫婦二人だけで子供はいない。いつか、自分も一人になるとの思いがあるようだ。
茶色のビニールを透して雨粒が光っていた。子供の頃の新しい傘を下ろした楽しさを思い出した。
東京北社会保険病院下公園で彼岸花が咲き始めていた。去年の23日の日記を読むと、彼岸花は盛りを過ぎたと書いてあった。今年は猛暑で咲くのが少し遅れたようだ。
彼岸花は母が一番好きな花だった。
毎日連れて行っていた赤羽自然観察公園は咲く場所が歩道から遠かったが、この公園の彼岸花は手が届く所に咲くので車椅子の母はとても喜んでいた。
赤羽駅前で食材を買った。
まだ昼なのに雨雲は厚く夕暮れのように暗かった。
フエルトのシャツが丁度良い気温だったが早足で暑くなり、イトーヨーカ堂でチョコレートアイスを食べ、冷たいお茶を飲んだ。
地鶏の胸肉とジャガイモとニンジンとタマネギを買った。これでカレーを作る。
猛暑の影響で野菜はどれも高い。主婦をやっている身として暮らしづらい。
赤羽駅東口前。
赤羽自然観察公園まで足を伸ばした。冷たい雨で来園者は誰もいなかった。古民家に寄ると係のSさんが退屈そうにしていた。
挨拶すると驚いたように見た。Sさんと会うのは10ヶ月ぶりだ。
「道を歩いていても車椅子を見かけると、ついお母さんでは、と思ってしまいます。」
丁重な弔意の後、すっかり寂しくなったとSさんは話した。
しばらく思い出話をしてから辞した。
古民家の寒暖計は17度を示し、セーターを着てもいい気温だった。
湧水池へ行くと、水辺の斜面に彼岸花が沢山咲いていた。
生前母は、静かな雨の日、水辺に魂が水を求めて集まると信じていた。
母の魂が来ているのではと、しばらく眺めていたがその気配はなかった。
部屋に入る前に玄関前で写真を撮った。
7月より少し元気な顔になった。
しかし、喪失感は相変わらず突然に噴出する。
同じように介護の経験がある浜田氏によると、1,2年は消えないそうだ。
古民家の庭で泥だらけになった靴を浴室で洗った。
その後、熱いシャワーを浴びた。
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