涼しい雨に、人形のお雪さんの衣替えを思い出した。10年9月8日
涼風で目覚めた。開け放った窓向こうの、通路手摺に雨が打ちつけている。室温28度の涼しさが忘れていた季節を思い出させた。
母が死んでからも介護中のクセが抜けず、2時間おきに目覚めていた。最近、その習慣から少しずつ解放されている。昨日は一日中ウトウトと眠っていた。総計すると10時間は眠った気がする。これほど眠ったのは思い出せないほど昔のことだ。
毎日、過去の日記を読み返している。母が急速に弱り始めたのは去年の夏辺りからだ。死を予感している母の記述を読むと、7月1日の死は仕方がなかったと納得できる。
母の死を納得しても、哀しみからは一向に解放されない。面白いニュースやペットたちの画像がテレビに流れると、一瞬、母に教えてあげようと思ってしまう。そしてすぐに、それが叶わない寂しさが過る。仕事は山積している。でも、母のいない隙間は仕事では埋まらない。
姉は週末に訪ねて来て、「時間だけが過ぎて行くね。」とつぶやいてすぐに帰って行く。
九州の兄から葉書が来た。母とやり取りしていた葉書がタンスの引き出し一杯に溜まっていて、それを毎日1枚ずつ読んでいると書いてあった。生前母は兄と毎日葉書のやりとりをしていた。
「弘のボケ防止に書いているの。」
母は笑いながらそう言っていたが、兄は母の惚け防止のつもりで書いていた。
葉書には毎回違う母の写真を入れおいた。おかげで、パソコン内に3000枚程の母の写真が溜まっしまった。
人形ケースの母手作りの「お雪さん」。
30年前、母が作った人形だが、お粗末だったので私が胡粉を重ね塗りして面相筆で仕上げた。
絹の穴糸を使った髪は今も色褪せず黒く艶やかだ。
死ぬ半月前の6月半ば、母はヘルパーのOさんに手伝ってもらいながら、浴衣に着替えさせていた。
9月に入り、秋の衣替えだ。今回始めて姉に頼むことにした。
開け放った窓の雨音と涼しい風が心地良い。湿気は入って来るが気にならない。
仕事だけでなく、生きている充実感を取り戻そうと懸命になっている。
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