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2010年10月 7日 (木)

8年ぶりのディズニーランドに感動した。10年10月7日

6日水曜はディズニーランドへ版画家の菊池氏を誘った。
母の介護生活の中で、いつもあの平和な明るさに憧れていた。だから、母が死ぬとすぐに彼に電話して誘った。
彼は行ったことがなく渋っていたが、「可愛い子がうじゃうじゃいてナンパし放題だ。」と言うとすぐに承諾した。それからは大変で、水筒は、弁当は、リュックは、靴は普通ので良いのか、と彼は完全に山登りと勘違いしていて、何も必要ないと納得させるのに苦労した。
彼はその後、お絵描き教室の子供たちに聞いて、かなり笑われたようだ。

舞浜駅の改札口辺りで3時に待ち合わせした。私は10分早く、彼は10分遅れて到着した。

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私が、同年輩の彼を誘ったのは幾つか理由がある。
男なら気を使わないですむし、初体験の者と行くとその感動が伝わって楽しさが倍加する。更に、絵描き同士で感性が一致する部分が多いからだ。もし、一般の同年齢男性と行ったとすると、「おれは休んでいるから一人で乗って来い。」「寒いから早く帰ろう。」など、消極的なことばかり言われて白けてしまう。
しかし、彼は私と同じ場面で同じように喜んでくれて嬉しかった。
ことに、夜のエレクトリカルパレードには大感激していた。それは私も同じで、シンデレラや白雪姫に扮する、白人女性のお人形さんのような可愛さにうっとりしていた。日本人の踊り子さんたちも以前より一段と可愛くなっていた。そして最後のダシが"イッツ・ア・スモールワールド"の曲とともに通り過ぎた時、良質のミュージカルを見終えたような感動を覚えた。

世界中 どこだって笑いあり 涙あり みんな それぞれ 助け合う小さな世界
世界はせまい 世界は同じ 世界はまるい ただひとつ
世界中 だれだって ほほえめば なかよしさ みんな輪になり手をつなごう 小さな世界
世界はせまい 世界は同じ 世界はまるい ただひとつ

歌詞の一つ一つが心を打ち、いつまでもメロディーが頭の中で鳴り終わらなかった。
私は母が倒れるまで、年平均2,3回は行っていたが、エレクトリカルパレードを始めから終わりまできちんと見たのは初めてだった。パレードの間は来園者が見物に集まるので、行列が短くなった人気のビックサンダーマウンテンやスプラッシュマウンテンに乗るのに無我夢中だった。

彼はカリブの海賊、ウエスタンリバー鉄道、蒸気船マークトゥエイン号は喜んでいたが、ビックサンダーマウンテンは刺激が強過ぎたようだ。私たちの前の中国人家族は、乗り終えると小太りの50代の母親が気分が悪くなって通路の隅でゲロを吐いていた。中国人はタフでゲロなど吐かないと思っていたので、気の毒だけど少し可笑しかった。彼女は行列の間スナックを食べ続けていて、それで気分が悪くなったようだ。

肝心のナンパだが、二人とも夢中で園内を歩き回っていていて、すっかり忘れていた。そのせいか、園内で写真は一枚も撮らなかった。
閉園の午後10時前に、UCCコーヒー協賛の喫茶店に入った。ここは10時20分くらいまで利用できる。アールデコで統一された実に気持ちのいい空間で、二人ともすっかりくつろいでしまった。そこでやっと数枚、互いの写真を撮り合った。--彼の写真は承諾を貰っていないので掲載しない。

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コーヒーとチーズケーキを運んで来た可愛い子を、菊池氏はラテン系だと言い張った。聞くと、
「マラーダと、名札にアルファベットで書いてあった。」と彼は説明した。
しかし、どう見てもジャパニーズにしか見えない。彼は素朴な人で、世間の中年のようなエロギャグは絶対に言わない。メキシコ暮らしが長い彼によると、スペイン系のメキシコにはマラーダと言う女性名が多いらしい。再度、彼女が水を注ぎに来たので、名前のことを彼女に話すと楽しそうに笑っていた。名札の"harada"の頭文字を、彼はmと読み違えたようだ。

「彼はメキシコから来たんだけど、ディズニーランドは行った事がないと言うので、連れて来たんだ。」とか「二人は絵描きをしている。」とか、"mujer bonita !"--私の聞き違いかもしれないがスペイン語で「可愛い人」とか、やり取りがあって、ディズニーランドの最後の時間は楽しく終わった。

舞浜駅から東京駅に近づくにつれ、ディズニーランド帰りの乗客たちは夢の世界からから現実へ引き戻された。新木場を過ぎる辺りで、隣の若者はかぶっていたミッキーマウスの帽子を買い物袋にそっとしまった。

12時15分前、北赤羽に着き、駅前のライフで母が好物だったイチジクを買った。
帰宅して仏壇に供え「今日は楽しかったよ。」と報告すると、「良かったね。」と母の笑顔が思い浮かび、しばらく消えなかった。


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