結果を楽天的に好都合に考える者は幸運を招き寄せる。10年11月28日
東京北社会保険病院外科で鼠径ヘルニア術後最初の診察日だった。いつもは外科の外来は空いているが、土曜のせいで混んでいて30分ほど待った。
診察は執刀してくれた若い可愛い女医さん。
「見せて下さい」と言われ、反射的にパンツを膝まで下ろしてしまった。ちょっと見せ過ぎと思ったが上げ直すのはみっともないので、照れながらそのまま見せた。
「傷は綺麗に治っていますね。内部の盛り上がりは傷が治る過程の肉芽で心配ありません。やがて落ち着くと思います」
女医さんは傷跡を軽く押さえながら言った。
死んだ母は胆石手術の後、腹膜の縫合がうまくいかず、広くメッシュを入れた。メッシュは体組織に覆われ、板状に堅くなった。それで腹にゆとりがなくなり、晩年、腹が張ると訴えていた。今なら腹腔鏡手術で腹膜の縫合は小さくてすみ、もっと快適に老後を過ごせたかもしれない。
母と比べると鼠径ヘルニアのメッシュは少量だ。しかも、今回のUHS法では吸収性繊維が70%も使われていて、メッシュに違和感はまったくなかった。
「今回で診察は終わりです。」
女医さんは笑顔で言った。
「それは残念。先生に会えないのは寂しいです。」
答えると、「問題は起きない方が良いですよ。」と彼女は楽しそうに笑った。
内科と比べ、完治できる病の多い外科医は明るい。本当のところ、診察結果に異常がなくて安堵した。
会計が終わるまで時間がかかるので屋上庭園へ行った。庭園には至る所ミントが繁茂している。少し摘んでいこうと思ったが、造園業者に総て刈り取られた後だった。
ベンチに腰かけ、温かい日射しを浴びているとのんびりした。
待合室へ戻ると会計が出来ていた。額は400円と安い。後は緑内障の診察に数ヶ月に一度通うだけだ。
毎週土曜に姉が訪ねて来るが、昨日は風邪気味で来なかった。姉は去年の秋から風邪を引いてばかりいる。急に弱り、何だか先がないように思えてならない。九州に異父兄と異母姉がいるが、少し縁遠い。両親同じは姉二人のみで、上の姉は2年前に急死した。下の姉がいなくなったら本当の一人になる。
待合室外れに食堂があったが、経営不振で数年前閉鎖した。写真左あたりに食品サンプルを並べたガラスケースがあり、棚の下にソニーのロボット、アイボが置いてあった。
「こんにちは。」と声をかけると可愛い仕草で答えるので、母はとても喜んでいた。ガランとしたその一角に母の幻影を感じ、無性に寂しくなった。
病院から駅前へ買い物へ回った。
途中の食品店今戸屋にコーギーのコーちゃんがいたので遊んだ。お相手を止めて行こうとすると不満そうな顔をしたので撮った。大きな目が細くなった変顔に笑ってしまった。
それからすぐ、Kさんと大型犬の小次郎くんに会ってしばらく相手をした。すると、Kさんのピアノの生徒さんが通りかかって加わりにぎやかになった。
その後も、次々と知人に会って話し込み、帰りは1時過ぎなった。そして夕暮れに、友人のT君から快気祝いをするからと池袋へ呼び出され遅くまで飲んだ。
その日、沢山の知人に会えたのは、私は一人ではないと母が教えてくれたのかもしれない。
結果を楽天的に好都合に考える者は幸運を招き寄せると言う。それはアメリカの心理学者の研究結果だ。暗いことがあれば明るいこともある。ものごとは総て明暗バランスよく配されている。
下写真。緑道公園の紅葉。
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